コンサルタントコラム
Voice 88 カジュアル面談?
ダイレクトリクルーティングやリファーラル採用、「Wantedly」等のようなサービスの定着に伴い、ここ数年、「カジュアル面談」という言葉を候補者からも聞く機会が増えてきました。
個人的には「カジュアル面談」という言葉は採用周辺領域のバズワード的な感じもしていますが、「カジュアル面談」とは、正式な選考に入る前に、求人企業から会社や案件等の話を、候補者から経験や自身の志向や価値観等の話をし、カジュアルにお互いの理解を深める場面という意味で使われることが多いようです。
他方、一次面接の機会も、進化・変化しており、求人企業の考え・業界・体質などによっても異なりますが、張り詰めた空気の中、候補者の自己紹介・志望動機や経験の詳細に関する求人企業からの質問に候補者が答えることに多くの時間が割かれるTHE面接的な形ではなく、求人企業が求めている人物に近しい候補者に関しては特に、まず、ざっくばらんな雰囲気で、求人企業から自社・案件内容をプレゼンテーションし、候補者に自社・案件に関する理解を深めてもらった上で、フラットに候補者の話を聞くといった「カジュアル面談的な面接」を行う企業がとても増えてきました。
このようなご時世ではありながら、業界・職種・実績・人柄・年齢等、種々の要件を満たす候補者にとっては、現在も超売り手の環境は変わっておらず、一部の有名企業・ブランド企業・人気企業を除く、数多くの求人企業からすると、益々の成長・発展に導いてくれる可能性のある候補者に直接コミュケーションで、自社を知ってもらい、理解を深めてもらう機会は是非とも得たいもので、且つ候補者からも、フラットにお会いして、より理解を深めたいという意味で興味があるというニーズがあることを考えると、当然のこととも思います。
実は、採用が上手と言われる企業の多くは、これぞと思う候補者に対して、そのような対応をするのは普通であって、
・引く手あまたの優秀な人材が最初から、「是非とも貴社に入りたい」と本音で思っていることは極めて稀であること
・選考において、候補者と求人企業は50:50であること
等を採用に関わる方が良く理解していて、「カジュアル面談的な面接」は以前より実施されていたので、一部の方からすると、今更感も強いかもしれません。
ところで、候補者の方から、「カジュアル面談」と言われたのに、次のステップに進めなかった』という話を聞いたことがあります。
エージェントを介した転職活動の場合、候補者と求人企業の直接のコミュニケーションは、候補者が応募意志を示し、書類を提出し、求人企業の書類選考を通過した場合がほとんどです。すでに選考プロセスに入っているため、面談や会食等のワードは別にしても、直接のコミュニケーションがあった際には、何らかの判断があるのが通常です。
上述のケースは、もしかすると、求人企業もしくはエージェントが、面接の進め方や雰囲気がTHE面接的な感じではないという意味で、「カジュアル面談」と便宜的に使った言葉が齟齬を生んでしまったのかもしれないと、気の毒に思うと同時に、私自身も言葉には改めて気を付けなければと思いました。
どのようなワードでセッティングされたものであれ、応募をした際は、いつも通り、事前のリサーチ、質問準備をした上で臨む等、求人企業との直接のコミュニケーションには、お互いに判断が入ることを前提に臨んでいただけたらと思います。
もし、本音の応募動機が、エージェントから強く勧められたからという場合であっても、何よりも、ご自身の貴重な時間を使って対応する形になるので、せっかく同じ時間を使うのであれば、受け身ではなく建設的なスタンスで臨み、求人企業への理解を深め、ご自身が学びや刺激があり、貴重な場面だった・良い時間だったと思える機会にしたいものですね。
※ キャリアの話は、一人で考えるよりも、対話形式の方が思考を深めることができますので、キャリア相談をご希望の経営幹部の方は、お気軽にお声かけください。