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トップインタビュー

オリコン株式会社 代表取締役社長 小池 恒 氏

音楽ランキングの草分け「オリコン株式会社」の小池恒社長にお願いしました。現在、オリコンのサイト「ORICON STYLE」のユニークユーザーは増え続け、1000万人弱が来訪する人気サイトに成長。昨年で創業40周年を迎え、既存の音楽ランキング以外にも「CS(顧客満足度)ランキング」を発表するなど、更なる発展を目指す同社の小池社長は今、何を考え、今後どのような戦略で事業を進めていくのかをお伺い致しました。

オリコン株式会社

代表取締役社長 小池 恒 氏

1988年 明治大学法学部卒業後、株式会社服部セイコー(現セイコー株式会社)
1991年 株式会社オリジナル・コンフィデンス
1994年 株式会社オリコン取締役
1996年 同社取締役副社長
1999年 ㈱おりこん・ダイレクトデジタル(現オリコン㈱)を設立し同社社代表取締役社長
2000年 ナスダックジャパン(現ヘラクレス)株式上場
2001年 事業再編を行い、オリコングループCEO
2003年 書籍『患者が決めた! いい病院』が話題に
2006年 顧客視点に立った『CS(顧客満足度)ランキング』をスタート、その他さまざまな事業を展開している。

抜田 誠司

インターウォーズ株式会社

インタビュアー 抜田 誠司

食品メーカーを経て、黎明期の外食FC本部に参画。研修・業態開発・営業企画等の責任者を歴任。その後、小売業等の新業態開発・外食業態のリブランディング・物流/購買改善等のプロジェクトに携わり、2007年から現職。

抜田 誠司(以下、抜田)

小池 恒 氏(以下、小池):本日はお時間を頂き誠に有難うございます。早速ですが、「オリコン」の社名の由来を教えていただけますでしょうか。

前の社名「オリジナル・コンフィデンス」が由来です。「絶対的な信頼」という意味で先代がつけたんです。人気という目に見えないものを透明化して行きたい。その際に一番重要なものは「独自性」と「信頼性」、特に、「絶対的な信頼」を持つようなデータを出して行きたいという思いが込められています。業界内では創業数年で「オリコン、オリコン」と呼ばれるようになりました。実際に「株式会社オリコン」と社名を変えたのは、創業25周年だったので、今から15年前ですね。

抜田社名の由来に相通ずるところもあるのかと思いますが、社是を教えてください。

小池:我々のミッションは3つあると考えています。
一つは、コンシューマー視点に立って、世の中の透明化ニーズに応えていくこと。二つ目は、世の中のトレンド、タレント(=才能)を発見・発信していくこと。三つ目は、ヒットやトレンド、消費を我々のメディア活動を通じて増大させていくことですね。
どこよりもしっかりとした調査に基づくデータを出して、世の中でもっとも信頼されるエンターテインメントとライフスタイルにおけるメディア企業になろうと・・・。「Most Trusted Entertainment & Lifestyle Media」というのがキャッチコピーなんですけど、それが基本的な考え方ですね。

そういう中で、うちの社是は『Consumer Oriented(消費者本位)な立場から、最も信頼性の高いランキング情報を提供することによって、社会からの信頼を獲得し、文化、産業の発展に貢献することを目的とします。』です。

抜田現在御社の一番の課題は何だとお考えですか?

小池:課題はたくさんありますが、「全社のITリテラシー(ITを使いこなす能力)を更に高めること」です。我々は雑誌を作ることなどはいい形でノウハウ化されてきていますので、次は今注力しているWeb事業やモバイル事業などの分野で、ITリテラシー、つまりWebサービスのリテラシーを更に高めていくことがすごく重要だと考えています。

抜田そんな現状の先に見る、今後の御社の戦略をお聞かせください。

小池:とにかく価値のあるデータベースを構築することです。インターネットという環境、それと我々がWebサイトを通じて約1000万人にリーチしているということ、オリコンというブランド、それと、オリコンでレイティングをつけることに協力するアクティブな方々がいるOMR(オリコン・モニター・リサーチ)というモニター調査の会員、それらがうちのアドバンテージだと思っているんです。それら全てを利用して、世の中のありとあらゆることについて非常に価値のあるデータベースを作っていくっていうことですね。

これからはどれだけ良質のデータベースをアップロードするかが、Web2.0の勝負。それをどれだけわかりやすく、ユーザーに提供できるか、更にそれをどれだけわかりやすいかたちでビジネスにできるかが重要だと思うんです。

抜田今までのお話では「価値のあるデータベースを集める」ということが今の御社にとって非常に重要であり、課題は「ITリテラシーを高めること」ということですが、やはり、御社が求められている人材は、その手法をご存知な技術的な方だけなのでしょうか?

小池:そんなことはないですね。ただし、例えばですが週末に友人と遊ぶより自分の書いた記事が何百万人に読まれる方がずっと充実感があるよねっていう発想の人の方がいいとは思います。我々はメディア企業なので、その中で常に進化をして、コンペティターにも勝っていかなければいけない。常に自分達のユーザーの顧客満足度を高めるということに前向きな人であれば、すぐにキャッチアップができますよ。

抜田ということは、特に業界経験・職種ということではなくて、心持ちが大事ということですね。現在、御社で活躍されている方は前職ではどんなお仕事をされている方が多いのですか。

小池:特に傾向はありません。例えば製薬会社の新薬開発していた人がIRをしていたり、遊園地のマシーンを売っていたような人が社長室にいたりします。職種によっては制約がつくことはありますが、基本的にはありません。経験よりも資質的な事、心持ちみたいなところを重要視しています。

抜田本サイトは経営幹部の方がご覧になられることが多いのですが、一般社員と経営幹部・役員陣に求められることの一番大きな違いは何だとお考えですか?

小池:経営幹部層はそれぞれの立場で求められるものが相当変わってくると思うのですが、そうですね~、やっぱりCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)を理解している人だと思いますね。会社がどういう風に社会に対して取り組むべきかという価値観をほんとに理解できるか否かですね。

これから急速に企業の価値をはかる上でCSRというのがものすごい重要な尺度になってくると思うんですよね。単に再生紙を使うとかそういうことだけではなくて、社会に対してどんな役割を果たしていくのか。「儲かるからやる」だけではなく、社会に対して我々がどういう役目を果たしていかなければならないのか。この軸がぶれると、その会社は健全ではなくなります。

抜田最後に、現在、転職をお考えの方へアドバイスをお願いします。

小池:今、人材紹介会社さんがうまく機能して、転職をする機会が増え、うまく年収を上げられている方を多く見ます。ただ、その一方で、昔よりもすごく転職回数が多くなっているように感じます。我々からすると、どういう考え方で、どういう哲学でその会社に就職したかというのはその方から垣間見えるんですよね。だから、その会社に入ることが自分にとってどういう意味があるのかということをしっかり考えないと、ご本人はステップアップのつもりが、実はステップアップじゃないっていうことが起こりうるので、気をつけられたほうがよろしいのではないでしょうか。

自分の経歴は一つのストーリーです。そこをよく理解したうえで、本当にキャリアアップになるような転職をしていったらいいのではないかなと思います。仮に少ない期間であったとしても、ストーリーが通ってる人は、価値がわかりやすいですからね。

抜田そうですね。その通りだと思います。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

小池社長は、大変気遣いをしてくださる方で、逆にこちらが恐縮してしまうほどでした。
こちらの失礼な質問にも快く、そしていただいたお時間をオーバーしてしまうほど、熱く丁寧にお答えいただく姿勢に、社長のお人柄を感じることができました。

小池社長、この度はお忙しい中、お時間をいただき、誠にありがとうございました。また、お話できることを楽しみにしております。