トップインタビュー
株式会社クリエイト・レストランツ 代表取締役社長 岡本 晴彦 氏
2005年にマザーズ上場を果たし、2006年には全国300店舗を突破。立地特性に応じて業態を開発し、多様なブランドを展開していくというビジネスモデルで急成長を続ける「株式会社クリエイト・レストランツ」の事業について、また求める人材についてお伺いしました。
株式会社クリエイト・レストランツ
代表取締役社長 岡本 晴彦 氏
1987年 東京大学経済学部経済学科卒業
同年三菱商事株式会社入社。情報通信システム第一部配属
1991年 食料総括部在勤
1996年 日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社出向
1998年 生活産業流通企画部フードサービスチーム在勤
2000年 株式会社クリエイト・レストランツに専務取締役として出向
2001年 同社代表取締役副社長就任
2003年 三菱商事株式会社退社
株式会社クリエイト・レストランツ代表取締役社長就任
2005年 マザーズ上場、現在に至る。
インターウォーズ株式会社
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インターウォーズ(以下、IW):岡本社長は87年に三菱商事に入られたわけですが、御自身は当初からフードビジネスに御関心があったのですか?食に係わるきっかけはどのようなことだったのでしょうか。
岡本 晴彦 氏(以下、岡本):三菱商事では食料部門の情報システム部におりました。外食業界に携わったきっかけは、96年に三菱商事の取引先であるKFC(ケンタッキーフライドチキン)に出向する機会に恵まれ、外食の現場を持っている会社と、当時の経営者である大河原社長(現:ジェーシーコムサ会長)との出会いでした。そこで業界のネットワークを築き、当時三菱商事社員だった遠山氏(現:スープストック会長)とともにスープ事業を立ち上げるという機会にも恵まれました。
IW:そのような背景でフードビジネスに係わってこられた訳ですね。
岡本 :2年半のKFCでの出向期間後、三菱商事のフードサービス部門に戻り、今度は三菱商事の社員の立場で、オリエンタルランドと三菱商事の合弁会社(最終的に3社の合弁会社)をつくり、米国のテーマレストラン「レインフォレストカフェ」を誘致するプロジェクトを起案、実行しイクスピアリにオープンさせました。
IW:三菱商事を離れ、独立されたいきさつは?
岡本 :「レインフォレストカフェ」のプロジェクトの時に、飲食業のようなロットが小さい消費者ビジネスが、世の中のスタンダードではないかと感じたのです。
また三菱商事のような大企業の中では、ビジネスを創り上げるスピードが思ったようにいかないというもどかしさを感じ、もっとスピード感を持ってやりたいと思うようになりました。
大河原さんはじめ多くの方との出会いを経て、ビジネスの仕組み、店舗運営の厳しさなどを体感させてもらった中で、自分が中心となって、自らが自分の意志を伝えて組織を率いていきたいと考えるようになり、加えて「レインフォレストカフェ」の成功も社内評価されたこともあって、前例にない社内ベンチャーとして起業しました。
IW:最初の出店はどのような感じだったのでしょうか?大企業とは違うご苦労も多かったと思いますが。
岡本 :三菱商事の資本が入ったからといっても経験も無く、資金繰りや、人材不足などが厳しく大変でしたね。しかしながら、常に新しい立地に対してチャレンジし、プレゼンテーションを重ね、今までにないオンリーワンのレストランを作る想いを持ってやり続けました。
IW:スタッフの人心掌握、トップとしてのリーダーシップなどはどのようなことを行っていらっしゃるのでしょうか?
岡本 :中心となってやっているスタッフと一緒になって考えることでしょうね。分からなくても決断する。分からないなりに考えて判断し、経験から学ぶことしか成長はないと思います。
たとえ間違った判断だったとしても、チャレンジ精神をもって行動し、その結果を検証し学んでいくことです。それが成長の原動力になると考えています。
IW:マルチブランド・マルチロケーション戦略が生まれたきっかけについてお聞かせください。
岡本 :もともと何の経験もない人が店をやる場合、大発明もしくは画期的なアイデアがないと成功するのは難しいでしょうし、長期的な成長を目指すには、何より良い立地を的確にとっていくことが必要であると考えました。その際、ひとつの業態を決めて立地を探すのではなく、立地を決めて何の業態がいいかを考えると、最終的にいい立地を獲得出来るというチャンスが増えるのです。
また、デベロッパーの期待に応えることができますし、色々な物件の情報も集まってきます。まず、立地ありきの視点でビジネスを作っていきました。
IW:現在のクリエイト・レストランツの平均年齢は。
岡本 :32歳です。
IW:クリエイト・レストランツはどんな会社でしょうか。
岡本:会社の雰囲気は徐々に変わってきたと思いますが、新しい業態を開発する機会や出店の数も多いので、どういう店をつくるかという業態開発と立地開発の経験値は、他社よりも持っている会社だと思います。常に新しいことをクリエイトしていく為にも、他店、繁盛店などを幅広く研究する意欲は高いと思います。既存店の営業政策も、ある程度店単位で考えています。運営しているブランド(業態)が同じでも、場所によってお客様の嗜好は様々なので、現場の意見を取り入れていかなければならないと考えています。
IW:社員へのミッションはどんなものでしょうか。
岡本 :「スピード」、「クリエイティブ」、「チャレンジ」、この3つをキーワードに掲げています。
スピード感をもってクリエイティブにチャレンジしていくということです。
スピード感は人間を成長させるキーワードだと思います。ひとつのことを突き詰めて永くやる、これもひとつの方法だと思いますが、失敗してもいいから色々なチャレンジをスピード感もってやるということ、これを皆で共有していきたいと思っています。
IW:クリエイト・レストランツに転職を考えている人、興味を持っている人に対してのメッセージはどんなことでしょう。
岡本 :まず、リーダーシップがすごく大事だと思います。
プロジェクトの中心に立って自分の裁量で、プロジェクトを率いていくことが出来る人、つまり、リーダーシップのもとにビジネスをクリエイション出来る人。
あと、スピードをもって動けるかどうかですね。失敗を恐れず、まずは考え、チャレンジし、行動に移してみるということが大事だと思います。
IW:岡本社長が常に考えていることはどんなことでしょうか。
岡本 :人においてもビジネスにおいても全てに出会いがあって、その出会いによって新しい価値が生まれると思っています。出会いというきっかけから、色々な経験値、様々な得意技をもった異文化の人達がコミュニケーションすることで、人も組織も成長できると考えています。
そういうことを今後もやっていきたいと思いますし、大事にしていきたいと思っています。
IW:本日はありがとうございました。