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株式会社グーディッシュ 代表取締役社長 堤 龍司 氏
2002年設立の新進気鋭の企業で、首都圏を中心とした「低廉で良質な住宅供給を」をモットーにファミリータイプのマンションデベロッパーとして目覚ましい成長を続けている「株式会社グーディッシュ」の堤龍司社長です。同社の今まで、現在、そしてこれからを堤社長にお聞きしました。
株式会社グーディッシュ
代表取締役社長 堤 龍司 氏
1989年 大学卒業後、扶桑レクセル株式会社入社
1998年 同社プロパー社員初の営業部長
1999年 株式会社ダイナシティ入社
2000年 同社常務取締役
2001年 同社ジャスダックジャパン上場
2002年 株式会社ジャパンネットランド設立 代表取締役
2004年 株式会社グーディッシュに社名変更
2004年 初の自社ブランド物件販売
2006年 マンション管理戸数500戸達成、現在に至る
インターウォーズ株式会社
一人ひとりが人生のCEOとして生きる社会を実現する
人と企業のインキュベーター
インターウォーズ(以下、IW):まず、社名の由来を教えていただけますか?
堤 龍司 氏(以下、堤):いかにも不動産会社という名前にはしたくないと思っていました。「Good Dish」からの造語です。本来は「おいしい食事」という意味ですが、「最も良い」という意味があります。お客様・従業員・取引先・株主等のどのステークホルダーの方々から見ても「最も良い」会社にしたいという思いで名づけました。
IW:堤社長が、不動産業界に足を踏み入れたきっかけを教えていただけますでしょうか?
堤 :業界や職種を絞らないで就職活動をしていたのですが、いろいろなところから内定を頂きました。その中の一社が前々職の会社でした。社会人スタートにあったっての第一歩目は、「将来親に住宅をプレゼントできれば良いな」という位の気持ちでした。最終的にそこに決めたのは、イキイキとして非常に魅力的な営業部長の方とお会いする機会があり、その後、大変熱心にお誘い頂いたこともあり、そこに決めました。今考えると、その方との出会いがきっかけでしたね。
IW:その後、起業までの経緯を教えていただけますでしょうか?
堤 :最初の会社で、無我夢中でやって結果を出し、プロパーとして初めての営業部長まで経験させて頂きました。同じようなランクの人達よりも、何倍も結果を出し続けていたとは言え、資本の論理でそれ以上先のポジション(経営陣)・収入のイメージがつきませんでした。経営を覚えたい、会社のお金の流れ(人間で言うなら血液の流れ)が見たいという思いで、5年位前から声をかけ続けて頂いていた社長の会社に「上場するまで」というお約束で唯一の転職をしました。
当時、不動産業界で上場するのは大変困難な時代だったのですが、入社後一年目・二年目と実績を挙げることが出来ました。そして三年目の年末に上場を果たしました。取締役待遇で入社させて頂き、上場時には常務取締役営業本部長という大役を任せて頂いておりました。
「上場まで」という入社時のお約束でもあり、その時の資金を元手に、自分を育ててくれたファミリータイプのマンション業界に恩返しをするつもりで、目黒駅前で14坪家賃30万円位のワンルームマンションを借りて、私を含め3名で起業しました。
IW:なぜ、目黒で立ち上げられたのですか?
堤 :唯一の転職時に住んでいたのが目黒だったのです。当時、自分ならやれるという自信はあったのですが、プレッシャーや緊張感でピリピリしていました。あの背中に稲妻が走るような感覚・・・当時の気持ちを決して忘れずにやらなければいけない、もしくはあの当時の気持であれば必ずできると思い、当時住んでいた目黒を選んだのです。
IW:なるほど・・・
堤 :がむしゃらにやってきた結果、約5年で100億弱の売上を作る会社にすることができました。そんな中で、組織を固めなければいけない、内部体制を整えないと組織として勝負できないということに気付きました。しかし、うまく人を採用できたとしても、人材育成や組織固めは簡単にはできません。何事もそうですが、毎日毎日の積み重ねが大切ですよね。そこで中期経営計画を立てながら、企業理念の大切さ、理念から生まれる経営戦略・営業戦略をここ一年半くらいかけて、刷りこんできているところです。
IW:今の業界はどのような状況なのでしょうか?
堤 :住宅は余っているともいえますが、逆に言うとお客様が満足してないと思うのです。生活様式の変化もありますが、「もっと新しい」「住みやすい」「地球や人間にやさしい」「使い勝手がいい」ものを求めるという時代に変わってきています。お客様が本当に欲しいものを作らないと、ご購入頂けない。
人口は減ってきているとはいっても、首都圏に限ると毎年2ケタの割合で増加しています。
東京では、一世帯当たり人数も4人から、2.3人と状況も変わっています。つまり首都圏に限って言うなら「人口」も「世帯」も増えているのです。加えて少子化で教育費がかからないこともあり、「良いもの」に住み替えるチャンスを狙っているお客様が多いのではないかというのが私たちの見解です。
IW:今後の戦略をお教えください。
堤:首都圏から逃げない営業戦略を貫いて成長していきたいと思っています。
また、2~3,000万円台の「良質で低廉」な住宅を第一次取得者層(初めて住宅をお買い上げになる)のお客様にご提案していくことが我々の使命だと思っています。生活環境やお子様の学校、月々の住居費も大幅に変えることなく住み慣れた街で、新しいマンションを所有する「スイッチングコスト理論」を展開しています。人が多く住んでいるところで、賃貸需要の高いところにマンションを供給しようということです。
それと、将来的には、開発だけではなく、管理にも注力していきたいと思っています。
IW:御社の強みは何ですか?
堤 :認知してもらうための広告はとても大事なのですが、最後は営業力(=人間力)だと思います。我々が手掛けているような価格帯のターゲット(第一次取得者層)の方に対して、お客様はなぜ買わなければならないのか、買った後どうしたらいいのか、そして買った後の生活をしっかり理解・想像してもらうまでは、担当営業マンの営業力(=人間力)に大きくかかっているのです。
営業マンの提案をしっかり理解して頂いたお客様は、住む場所を世田谷や杉並にしたいと考えるのではなく、ご自宅の設備や使い勝手を良くしたいと考えるようになるのです。ですから、地域に根付いた地域密着型・エリア戦略・沿線戦略に特化していきます。
IW:そんな中でも、他社との一番の違いは何でしょうか?
堤 :出してみて「売れるかな?」ではなく、我々は「スイッチングコスト理論」が利くところでないと手を出しません。これくらいの賃貸需要があるから、これくらいの住宅が売れるということがわかっています。つまり、科学されているのです。「こういう人が買うな」ということを具体的にイメージしながら、住宅を作り込んでいきます。だから、負けないのです。
IW:企業としての目標を教えていただけますか?
堤 :まず、不動産会社はIPOしないと生き残りが難しいと考えています。信用や信頼が勝ちとりにくいからです。お客様からも、従業員からも、従業員の家族の皆様からも、そして金融機関からも・・・。だから、あくまでも通過点としてのIPOを目指しています。
そして、経常利益で1,000億円の企業を作りたい。それはただ単に「会社を大きくしたい」からとか、「儲けたい」からということではありません。私は本質に迫りたいのです。そういう企業は『本物』だからです。起業した以上は、突き抜けた実績を作りたいと考えています。例えば、「TOYOTA」という企業だからすごいのではなく、本物志向だからその地位を築くことができたのだと思います。業界で突き抜けたいと考えています。「住宅といえばグーディッシュ」というところまで持っていきたいです。憧れの存在になりたいです。
IW:現在の御社の課題は何だとお考えですか?
堤 :優秀な人を採用することと、人材育成が二つの大きな課題です。そして、今後は社長が全てに口をはさむのではなく、参加型にしなければだめだと思います。
良いものを作るのではなく、売れるもの(=お客様に支持頂けるもの)を作っていきたいです。それが市場に対する企業価値ですから。マーケットに支持されている=売上=利益ですよね。そこに人材育成が絡んでくるわけです。逆から見ると、人を育てていかないとそれが実現できないのです。
IW:御社の求める人材はどのような方々ですか?
堤 :人を育てるために、能力の高い現場型のスペシャリストの方にお集まりいただきたいです。残念ながら、僕一人ではできないことです。だから、志が合う人。給料も大切ですが待遇面だけではなく、理念を理解し・共有できる人が理想です。そして、環境適応能力のある人。自分を進化させていきたいと思っている人と一緒に仕事がしたいです。「共に人生を賭けたい!」と思える人と仕事がしたいと心から思います。
IW:最後に、現在、転職をお考えの方へアドバイスをお願いします。
堤 :環境に対応できなければ、そして、前向きな姿勢、意欲がなければ能力は発揮できないと思います。能力はあるのだろうけど、素材は良いのだろうけど、残念ながら優秀なだけでは活かされないものです。経験・強み・実績・個性・ハートが大切だと思います。加えて自分の見せ方がわかっているといいと思いますね。
IW:本日はありがとうございました。
堤社長からはお会いする度に、常に真剣勝負の姿勢を感じます。大変熱い想いをもち、目標に向かって邁進し続けている堤社長はじめ、同社の今後がとても楽しみです。