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トップインタビュー

株式会社ナック 代表取締役社長 寺岡 豊彦 氏

株式会社ナック」の寺岡豊彦社長に、現在「タマキューホーム株式会社」「株式会社レオハウス」という2つのグループ会社で展開されているローコストの住宅事業についてお聞きしました。
日本の住宅に価格破壊をもたらしたいとの思いで取り組まれて来た株式会社ナックの住宅事業。今その事業がいよいよ全国展開を目指して具現化されてきています。その思いと今後の展望についてお聞きしました。

株式会社ナック

代表取締役社長 寺岡 豊彦

学生時代(早稲田大学・法学部卒)弁護士の道を志していた時期にアルバイトで出会ったのが現会社の創業者(現会長・西山由之)だった。「会社を大きくして、世の中の人をたくさん幸せにしたい!!」という会長の言葉を何度も聞くうちに、次第に並々ならぬ熱意に心動かされるようになり、エリートコースをスピンアウト。
2004年、株式会社ナック 代表取締役社長に就任。
現在、グループ会社のタマキューホーム株式会社、株式会社レオハウスの代表取締役社長も務める。

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インターウォーズ(以下、IWまず、なぜ住宅事業を始めたのですか。

寺岡 豊彦 氏(以下、寺岡):当社(ナック)が上場したのは平成7年でバブルがはじけて世の中が非常に苦しかった時代でした。そんな時代に当社が上場できたのは「訪販(ダスキン代理店)事業」という非常に手堅い商売をしてきたからで、前年対比で10%ほどの非常に堅実な成長をしてきました。一方で会社の規模を大きくして一人でも多くの方に「雇用」という機会を提供するのも「社会貢献」になるだろうと創業者の西山(現会長)は考えており、そのためには訪販という低単価のビジネスの他に高単価のビジネスを手がける必要があると感じていました。

また、ダスキンの事業をやりながら多くのお客様の住まいを訪問させていただく中で「家を買いたいが値段が高い」「もう少し何とかならないのかしら」という相談を受けることが非常に多かったのです。創業者の西山(現会長)もいつかこの要望に応えたいと常々思っていました。

そんな折、埼玉県のとある工務店で成功していたローコスト住宅の建築ノウハウを全国に広げる事業チャンスに出会ったのです。

その工務店はローコストの住宅を建てる技術とノウハウがありましたが、営業エリアを埼玉県内に限定していました。そこで今から15年前にこの工務店のローコスト住宅建築(従来は1坪50万~60万円のところが29万8000円)のノウハウをパッケージ化して「建築コンサル事業」をスタートさせ、全国の工務店に販売することにしたのです。これが我々の住宅事業の最初の関わりです。

IWその後現在の「レオハウス社」が設立されるまでにはどのような経緯があったのですか。

寺岡 :その後、今から8年前の1998年に福岡県の筑後市で玉木さんという現タマホームの社長が、我々のローコスト住宅のノウハウを買われて、29万8000円よりさらに安い25万8000円(税込み)で住宅を建てることを始めていました。玉木さんが3店の出店をしたころ提携話が持ちかけられました。我々はローコスト住宅のノウハウは販売していましたが実際の住宅建築については本当に事業化できるのか(売れるのか)我々自身での販売実績がありませんでした。

そこで玉木さんと手を組み「タマキューホーム㈱」という子会社を作り”タマホーム”というブランドの25万8000円のローコスト住宅を販売する住宅事業に参入しました。

㈱ナックとして全国展開すると取引先の他の工務店と競合するので、我々は地域を限定して九州と四国で「タマキューホーム㈱」という会社でスタートし、先行する玉木さんの「タマホーム㈱」と共同で全国展開を目指し、ローコスト住宅の普及をさせましょうという共通課題に挑むこととなりました。

当時ローコスト住宅は「安かろう・悪かろう」と思われて本当に売れて事業として成り立つのか大きな実験でありましたが、5年間でローコスト住宅が本当に売れるという実績をつくることができました。ローコスト住宅を手がける企業はそのころもありましたが、フランチャイズの手法をとっているところがほとんどで、ひとつの企業体で全国展開していたのはタマホーム㈱1社のみでした。

やがて、当社の「タマキューホーム㈱」で展開する住宅事業が大きな事業の柱となりうる規模になり、次の展開として2006年に「㈱レオハウス」という会社をつくり「レオハウス」という更にお客様に喜ばれるローコスト住宅の全国展開に踏み出したのです。

現在、ナックのグループ会社としては、2008年4月にはレオハウスブランドに統一して住宅を販売してゆく計画です。5年間で50支店・社員1,200人・売上750億を目指しています。

IWところでそもそも、なぜ日本の住宅は高いのでしょうか。

寺岡 日本の住宅業界は数社の全国規模の大手住宅メーカーが80%のシェアを握っており、残り20%を全国に2万ある中小企業(工務店)が担ってきています。昔ながらの職人(大工など)の工賃・雇い方・部材資材の購入方法・営業方法など旧来の慣習を踏襲したシステムができており、いわゆる「大手寡占」状態で価格も坪50万~60万円と高止まりの構造になっています。それでも今まで多くのビルダー(中小工務店)が住宅業界にローコスト住宅を実現しようと挑んできましたがどれも成功しませんでした。

IWそうですか。それでは御社はどのようにしてローコスト住宅の提供を可能にしているのでしょうか?

寺岡 大手住宅メーカーは数多くの住宅を手がけることで、部材も一括購入でき原価を安くすることができます。この大手のみが持っていた手法(ノウハウ)を我々がパッケージ化して全国の工務店に提供してきました。

それから、たとえば職人の工期を短縮し、通常4ヶ月~5ヶ月かかってきたものを60日でできるようにしました。それによって年間3棟しかできなかったものが6棟できるようになり、職人の工賃は変わらないのに工期を短縮することで今までの2倍の家を建てられるようになりローコストが可能になりました。

IWなるほど。しかしいずれ大手メーカーもこのローコスト住宅に参入してくるのではないでしょうか。

寺岡大手住宅メーカーは規模の理論で原材料は安く確保できますが、それ以外の社内コスト(管理費・広告費・モデル住宅など)が多くかかかっており住宅価格を安くできない体質になっています。この体質はすぐには変えられないため、ローコストの住宅はなかなか手がけられないのです。

IWそうすると御社は住宅業界にまさに”価格破壊”をもたらしたのですね。

寺岡はい。しかし業界(マーケット)を変えてゆくには、1社ではできません。何社も競争しながらマーケットを活性化させる必要があります。

例えば、昔はスーツは町の仕立屋や百貨店で作るものであり「高級品」と考えられていましたが、今ではロープライスの紳士服店ができて価格破壊が起きました。また電化製品も昔は町の電気屋や大手スーパーでほぼ定価で買っていたものが今では量販店で安く買うことができます。このような価格破壊が住宅業界には今まで起こりませんでした。

我々ナックは全国の工務店にノウハウを提供してローコスト住宅のヒントを与えて火をつけましたが全国に燃え上がる勢いはまだ起こりませんでした。そこにタマホームさんが九州からスタートして全国展開を始めたのですが、でもまだたった1社でしかありませんでした。

本場の中で大手ハウスメーカーに対抗し、今までのシステムも壊さなければならず、2社だけでは新しい市場を作ることはなかなかできません。何社も参入して競争しながら一緒に活性化してゆくことが必要です。さまざまな規制・障壁を突破するには他業界からでもよいので多くの企業が参入してどんどん活性化して欲しいと思います。極端なことを言うと家電メーカーでも流通業界からでもよいのです。多くの会社が競争することで、顧客もローコスト住宅を認知し、品質も良くなりマーケットも活性化するのです。

IWこれから拡大する貴社の住宅事業ではどんな人材を求めていますか。

寺岡 住宅業界にいた経験のある方ほどローコスト住宅に「疑い」をもって入ってこられます。しかし現場でモデルを見て商材をさわってOJTを受けて当社の仕組みを知ると「売れる」と確信されます。営業担当は必ずしも住宅業界の経験は要りませんが、基本的なビジネスルールは必要なのであまり若すぎる人は難しいかもしれません。一方建築(設計・現場管理)担当は素材、商材、基礎、瓦などの経験者のほうが活躍しやすいです。

IWレオハウスに入社した後はどのようなキャリアステージがありますか。

寺岡 入社いただいたら初めの2か月は、先輩もしくはリーダーについてローコスト住宅の仕組みを覚えていただきます。営業の場合集客はTVやCMで行い、モデルルームには月100組程度のお客様が集まります。各支店の営業担当は12~13名(多くて15名)体制で、そこで振り分ける。営業マン1人だいたい7~8組を担当し、そのうち多い人では2~3割、少ない人でも1割程度が契約に結びつきます。

その後、早い人は1年、遅い人は3年で営業マン3~4人を束ねるリーダー(各店に3人ほど)を目指していただきます。その次は支店長への道があります。これまでの最短は入社2年で支店長(55歳で転職してきた方がおり、57歳で支店長)になりました。他の企業ではなかなか採用が難しい年齢の方でも、実力があれば年齢に関わらず支店長になることができます。

IW同業者(他の住宅メーカー)からレオハウスに入社する方もおられると思いますが、他社に比べてどんなメリットがありますか。

寺岡 この住宅業界マーケットは昨今横ばい状態が続いており、一戸建で年間120万戸くらいの建築数です。その中でローコスト住宅は数万戸程度(4~5%に満たない)で毎年シェアを上げてきており今後は40~50%まで上がる可能性があります。

建築戸数が横ばいの中で(従来の価格での)住宅業界で仕事を続けるより、今後伸びが期待できるローコスト住宅で腕を振るったほうが会社も大きくなるしマネジメントポジションが経験できるチャンスもたくさんあります。これまでチャンスのなかった人でもチャンスをつかむことができます。ある意味新規事業と同じで年齢も学歴も性別も問いません。それから、レオハウスの住宅はすぐに結果が出ます。成約する件数が多いので報奨金が積みあがり特に営業の方は結果的に今までより収入増になる方が多いです。

IW本日はありがとうございました。最後に、このインタビューを読んでいるサイトのユーザーのかたへ一言メッセージをお願いします。

寺岡 弊社の創業者の西山(現会長)が言っているように「仕事は、自己実現の場である。仕事とは、人の和をつくりあげることである」と思います。縁あって当社に入社してくる方々へ言っているのは、「我々は皆さんを”公平”には判断しません。”公正”に判断します。”公平”は平等ということであり結果に関わらず一律に判断することですが、我々は”やった人”と”やらない人”との差をきっちりと評価します。結果が全てとは言いませんが大変重要な要素です。現在の環境の中で”評価されない”と嘆く人、”自己実現したい”という目的のある方には活躍できる場を与える自信があります。」

インタビューを終えて、「日本の住宅業界に価格破壊をもたらしたい」という寺岡社長の熱いメッセージが伝わる取材でした。寺岡社長は住宅の提供だけでなく、家を建てた後30年~40年の間建てた家と共に続くお客様のライフスタイルに合わせたサービスもお考えとのことです。今後の株式会社ナックの展開も非常に興味深いと思います。