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株式会社ラストリゾート 代表取締役社長 服部 匡志 氏
1998年創業、海外生活・留学のサポート事業において、大躍進中の企業で、業界NO.1の年間利用者数(年間利用者10,000人以上)を誇る成長企業の「株式会社ラストリゾート」の服部匡志社長です。今回は、起業の経緯から、なぜそれほどのシェアの拡大を図れたのか、また会社の魅力について、インタビューいたしました。
株式会社ラストリゾート
代表取締役社長 服部 匡志 氏
1998年、大阪にて設立。日本発の海外生活プログラムを開発し販売へ。
1年後には東京に進出し、顧客数、売上高共に前期の5倍以上の急成長を見せる。
現在代表取締役として、「ラストリゾート」のブランディングと、顧客満足度の追求と、次なる事業展開に向けて、邁進している。
インターウォーズ株式会社
一人ひとりが人生のCEOとして生きる社会を実現する
人と企業のインキュベーター
インターウォーズ(以下、IW):まず、ラストリゾートさんの起業の経緯と商品の開発背景について、簡単に教えてください。
服部 匡志 氏(以下、服部):当社を立ち上げる前に、前社長の高橋と、英会話スクールの運営に関わる機会がありました。その英会話学校は「ワーキングホリデー」をキーワードに生徒の集客を図っていて、たくさんの生徒を集めることに成功していたんです。そこで、その「ワーキングホリデーのサポート」という部分にターゲットを絞って、海外生活や留学の斡旋事業に特化してみたらどうかということになり、始めたのが「ラストリゾート」なんです。
当時の留学斡旋業者は、海外の学校への入学手続きを代行するだけの機能しか無く、国内ですべてを決めた上で渡航するシステムが一般的だったわけですが、私たちが、考えたのは、本来の留学システムとは、まず海外での自由度の高いワーキングホリデービザを利用して現地へ渡航し、現地での生活に慣れた上で自分に合った学校を選んだり、英語を学んだ後は現地でアルバイトをしたり、ショートツアーに参加するなどのスタイルの方が自然だし、そうあるべきだと感じ、現在の仕組みを開発しました。
IW:なるほど。しかし当時、競合がひしめき合う中で、現在のようなNO.1のシェアを獲得するまでには、大変なご苦労をされたのではないでしょうか?具体的にどのようなことで差別化を図られましたか?
服部 :そうですね、いろいろありますが、まず、既存の留学サービスは、主に学生向けに対してのサービスだったのですが、私たちは、社会人、特にOLの方々に的を絞り、営業活動を推し進めました。
当時は、バブル崩壊後で、漠然とした将来へ対する不安や、人生への疑問、自立の必要性などを感じている方が多く、「自分探し」的な意味でも、海外への興味をもつ方が増えていた時代だったと思います。
また、創業当初は街頭でのビラ配りから始めて苦労しましたが、海外旅行専門誌への広告掲載がきっかけで、問い合わせが大きく伸び始めました。ちょうど時代と、海外留学という市場のニーズがマッチしたのだと思います。
また、留学斡旋業という業界の認知度の低さからくる、怪しさを払拭するために、料金体系を明確にし、お客様に対してわかりやすい仕組みであったことも要因として挙げられます。
また、サービス業として、あたり前のことをあたり前に行った、というのもありますね。
この業界は、なぜか「資料請求をしても資料が届かない又は届くのが1ヵ月後と遅い」、「お問い合わせありがとうございますの一言が無い」、「電話の応答が不親切で遅い」など、サービス業としての基本が欠けていたようにも思えました。その中で、お客様を大切にするというサービス業としての基本も徹底して守り通しましたね。
IW:差別化の要因は、「明確で、留学者にとって親切な料金体系」「的確なターゲッティング」「情報誌への広告掲載」「サービス業としての基本」 等の商品力や、営業戦略によるところが大きいということですね。
服部 :あと、ひとつ。ただの物売りではない、本当のカウンセリングも行ってきました。
海外留学を希望されるお客様は、先ずはじめに弊社のカウンセラーにいろいろと相談をいただくわけですが、そのカウンセラーは当社における営業の役割を担っているわけですから、もちろん数字の目標を持っています。
しかし、私たちは、留学を希望するお客様に対して、留学の為の方法論だけではなく、「留学をしたい」の裏側にある、「本音」を聞き出すことが重要だと考えてカウンセリングに臨んでいます。
海外留学を考えたときに、乗り越えなければいけないハードルがいくつもあるわけですが、(仕事・予算・英語・漠然とした不安など)、そういった障害を乗り越え、人間的に成長するきっかけのひとつにしていただきたいと考えています。そうしたハードルを乗り越えることで自分のやりたいことを理由をつけてあきらめるスタンスから、リスクはあっても挑戦するスタンスへ切り替える、そうした部分に当社の存在意義があると感じて、日々カウンセリングを行っています。
IW:御社のシステムなどもさることながら、カウンセラーのカウンセリング力が重要ということですね。しかしカウンセラーの方も目標も持ちながらだと大変でしょう?
服部 :たしかに、営業数字と、カウンセリングは永遠の課題ですよね。(笑)
ただひとつ言えることは、結果として留学を選択しなかったお客様がいてもいいと思っています。大切なのは、きちんとお客様の根本の問題解決ができたかどうかということなのです。
せっかく交通費を使って弊社の事務所にお越しいただいているお客様に対して、満足のいくカウンセリングをすることが大切で、このカウンセリングが、カウンセラーに対しての信用につながり、会社の信用につながり、将来的な売上につながると考えています。結果としてこうした信頼感の高いカウンセラーは営業数字でも常にトップクラスの成績を上げています。
IW:そんな重要なカウンセラーをまとめあげるマネージャーになられる方は、どんなご経験を求められますか?
服部 :一度はカウンセラーを経験し、実績を作り上げた経験が大切だと思います。やはり実績がなければメンバーに対しても説得力がありませんので。
次に、感覚論ではなく、具体的に分かりやすく、メンバーを指導することができる人。たとえば、こんなやり方をやったら成績を上げることができる、とか、メンバーに、ただ、「頑張れ」だけではなくて、どうすればいいのかその方法をきちんと伝えられる能力も必要ですよね。
また、女性が多い会社ですので、女性に対してのマネージメント、心遣いなどができることですね。あと、成果に対する強いこだわり・執着心を持てることも大切ですね。
IW:2007年3月末時点、従業員153名 年商約36億という規模で事業を展開されていますが、今後の課題と、将来へ向けて、事業の展望をお聞かせいただけますでしょうか?
服部 :設立から約10年経過していますが、今までのステージは創業期であったと考えています。
今後の課題として、もっと「ラストリゾート」というブランドを強くしていきたいと考えています。「留学といえば、ラストリゾート」といった圧倒的なブランドイメージですね。具体的にはラストリゾートだからこそできるオンリーワン商品の開発を進めていきたいと思っています。すでに現在も「無料英会話レッスン」や帰国後の「キャリアトータルサポート」といった、就職支援システムを開発しスタートしています。こういった、弊社独自の武器を使い、ブランドを作り上げたいですね。
中長期的には、新しい事業モデルの構築を考えています。シニアマーケットの取り込み、留学帰国者の就労先の確保、そして留学の逆パターン・・・外国人の受け入れ事業等について考えています。
シニアマーケットについては、リタイアメント層の海外への長期滞在や、海外永住を希望する方々へのビザから生活シーンまでのサポートサービスを。また帰国者の就労サポートについては、今までは大手人材サービス会社と帰国後の就職サービスについてタイアップをしてきましたが、今後はそれに加え、自社で人材紹介や、留学経験者の採用に積極的な企業と、コンソーシアムを組み、就労の機会を増やしていくなどの施策を、また、今後の日本の労働力問題を見据えて、海外からの就労者へ対する、生活シーンでのサポートや、日本語の学習機関の提供などを推し進めていきたいと考えています。
いずれも大変魅力的なこれからの市場であると思いますので、将来的に大きな事業に育てていきたいと思っています。
あと、先月、亀戸に「ラストリゾート トラベルカフェ」の1号店をOPENしました。こちらは、「ラストリゾート」のブランディングの意味で大きな役割を担っていきます。もっと気軽に、またネットだけではなくリアル世界でも留学というものに触れて欲しいと考えています。近い将来、新宿や渋谷などのターミナルスポットにも展開していきたいと思います。
そしていずれは、海外でもカフェの展開を行い、海外における日本の情報発信基地として、海外から日本への留学生のコミュニケーションの場になればいいなと思います。
IW:服部社長が経営を行う上で、大切にしていることはどんなことですか?
服部 :うちは、「人」以外なにも資産がない会社なんですよね。(笑)
小さな企業にも関わらず、いい人材が集まっていることは当社の最大の強みだと思っています。私が大切にしていることは、そんな集まってくれたメンバーのポテンシャルを120%発揮してもらえるような舞台を作ること、それが私の一番大事な仕事だと考えています。ドンドン社員が活躍できる舞台を作り、その上で社員には思いっきり踊ってほしいと思っています。
また、仕事に関して、性別、年齢、国籍などは一切関係なく、実力主義で評価していますし、社内プロジェクト発足時のプロジェクトメンバーについても、自薦で参加者を募っています。また、昇進についても自己申告制を導入しています。
IW:昇進も自己申告なんですか?
服部 :ハイ。自分で上のフィールドへSTEP UP出来る実力を身に付けた、実績を出した、と感じたら、自己申告してもらいます。そこで上長と、私が面談を行い、大きなずれがなければ、翌月から昇進することになるのです。
IW:なるほど。社員の自発性を大切にしていらっしゃるんですね。
服部 :そうですね。私自身、「人を育てたい」という志向が強いものですから、もちろんお客さんに対してもそうですが、社員に対しても、私たち「ラストリゾート」にかかわることで成長していただきたいと思っています。
たとえばメンバーが成長した結果、次にやりたいことを見つけ、「ラストリゾート」を卒業していくことは、歓迎したいと思っています。もちろん会社を運営していく上での不安や寂しさはありますよ。けれども、そのような人が増えていくことは、会社として素晴らしいことだと思います。
IW:最後に、ラストリゾートで働きたいと考えている方へのメッセージをお願いします。
服部 :そうですね、これから「ラストリゾート」という会社作りを、一緒にしていただける方を常に探しています。私たちが一緒に働けるパートナーを採用する際に大切にしていることは、「自分で走れる方・・・自ら進んでいろいろなことを考え、動き、成果を出す方です。社内では、「自走型人間」と言っていますが。
逆にいえば、受け身で仕事を進める方は、社内の風土的につらい部分もあるかと思います。仕事は自分でチャンスを作り出して、成果を出していくものだと僕は考えています。そのスタンスを貫き通せること。そして「ラストリゾート」が目指す方向へ一緒に並走していきたいと考えていただける方と共に頑張りたいと思います。
一緒に自由にどんどん新しい仕組みを作っていける企業風土も維持し続けていきたいですね。
IW:本日はありがとうございました。
今回のインタビューの前週、服部社長は全国13拠点の全カウンセラーとの面談の為に長期出張していらっしゃいました。 「カウンセラーの一人ひとりの人間力が「ラストリゾート」の商品」であり、服部社長自らが磨きあげていると感じました。
ラストリゾートさんの社員平均年齢は、26歳という若さです。これから魅力的な人材が育っていく予感を感じています。 数年後、どんな魅力的な会社になっていくかとても楽しみに感じました。