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トップインタビュー

株式会社メディアフラッグ 代表取締役社長 福井 康夫 氏

流通・サービス業に特化した、インターネット活用型の営業支援(ラウンダーサービス(営業代行)等)事業・リサーチ(リアルショップリサーチ(覆面調査)等)事業を中心に展開する「株式会社メディアフラッグ」の福井康夫社長にお願いしました。
社長自身の流通業の現場経験を活かし、現在の事業を展開している同社の今、そしてこれからを福井社長にお聞きしました。

株式会社メディアフラッグ

代表取締役社長 福井 康夫 氏

1991年 早稲田大学法学部卒業後、旧三和銀行入行
土浦支店・神田支店にて、中小企業向け提案型融資営業を経験
1995年 株式会社セブン-イレブン・ジャパン入社
約一年間店長を経験後、スーパーバイザーへ
延べ約50店舗の指導・教育を担当後、情報システム本部システム企画部に異動し、店舗システム活用推進プロジェクトを担当
2001年 株式会社セブンドリーム・ドットコムへ転籍
2004年 株式会社メディアフラッグ設立、代表取締役社長
『「IT」と「人」をキーワードに流通業界に新しい価値を創造する』を事業コンセプトにマーケティング支援を目的として、流通向けアウトソーシングを展開中

抜田 誠司

インターウォーズ株式会社

インタビュアー 抜田 誠司

食品メーカーを経て、黎明期の外食FC本部に参画。研修・業態開発・営業企画等の責任者を歴任。その後、小売業等の新業態開発・外食業態のリブランディング・物流/購買改善等のプロジェクトに携わり、2007年から現職。

抜田 誠司(以下、抜田)「メディアフラッグ社」設立の経緯を教えていただけますでしょうか。

福井 康夫 氏(以下、福井):祖父の代から家が経営者家系で、自分でも経営を経験してみたかった。と同時に自分でも昔から経営者向きだと思っていました。そうはいっても、将来的に独立するにも何をしていいのかわからず、まず勉強と思い、敢えて苦手な数字の近くにと、当時の三和銀行に入行しました。

そこで大きな出会いが二つありました。一つは、「タリーズコーヒージャパンの創業者の松田公太さんとの出会い」で今でも好意にしていただいております。もう一つは「流通業との出会い」で、当時某スーパーの会長の鞄持ち的なお仕事をさせていただく中で、流通業の面白さを教えていただきました。

そんな中から「流通業はまだまだチャンスがあるし、今後益々面白いだろう」と感じ、セブン-イレブン・ジャパン(以下セブン-イレブン)に転職。当然ながら、現場の店長から始めて、スーパーバイザーを経て、本部の情報システム部に異動しました。
セブン銀行の立ち上げや、新規事業の立ち上げを経験させていただきましたが、特に新規事業はうまくいかず、「エリートの人達がたくさん集まって、皆一生懸命頑張っているのに全然成果が出ない。それって何故なんだろう」と日々考えていました。

「経営幹部が体を張って仕事をしていない。新商品を産み出す、新しい市場を切り拓く時は背水の陣でやらなければ成功しない」と結論を出し、35歳の時に起業しました。

抜田特に新しいことを成功に導くには優秀な人材を集めるだけではなく、本気で勝負することが大切ということですね。ところで今の事業内容で勝負しようと決めたのはなぜですか?

福井セブン-イレブンで勉強させていただいた仕組みを活かして何かをしようということは決めていました。起業までの間の友人の会社を手伝っている時に、某大手ドラッグストアA社の販売促進支援業務があり、改めてセブン-イレブンの徹底力・店舗管理の凄まじさを感じました。
具体的には、全店キャンペーンの際の現場での徹底率は、セブン-イレブンはほぼ100%でしたが、A社は4割ほど、あとの6割の店舗の販促物はそのままゴミ箱行きということを目の当たりにしました。これはチャンスだと思いました。

流通業は結果、つまりどんな商品がいつ売れたかはPOSレジで把握できますが、その過程である店舗の状況、つまり商品が並べられているか、打つべきキャンペーンは行われているか、接客ができているかということを把握する仕組みが有るようで無かったのです。
それをスピーディー且つクオリティの高い情報をデータベースにする仕組みを作れば価値があると思い、その仕組み(システム)を作ろうと思ったのがきっかけです。

抜田なるほど・・・同業他社との差別化はどういうところで図っていらっしゃいますか?

福井「スピード」と「クオリティ」です。
まず一つ目の「スピード」はASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)を使ってクライアントにタイムリーに報告ができること。二つ目の「クオリティ」というのはレポートの質です。リサーチという業務に関しての研修や、クライアント別にマニュアルを作成して、全国の拠点での集合研修やe-ラーニングなどで教育しています。そのマニュアルには、業態毎のチェックポイントやクライアント企業特有の専門用語の解説も含んでいて、リサーチ時やレポートの作成に活かされています。そうすることで、クライアントにも響きやすく、且つ個人の力量によるレポートレベルの差を少なくするように努力しています。

抜田教育が行き届き、リサーチの目線が高くなりすぎると、消費者目線ではなくプロ目線になるのではないかと思いますが、御社の目指すリサーチはどのようなものですか?

福井やはり、消費者目線のリサーチです。毎回決まった方がそのお店のチェックに行くわけではありませんので、プロ目線になることはありません。何よりも気をつけているのは、『消費者目線を統一する』ということです。主観が入りにくい設問にするなど、あくまで客観的に調査ができるように工夫しています。あくまで大事なのは消費者目線でチェックした内容を元に現場で修正を行うということだと思います。

抜田今のモニター登録数とリサーチ実施数はどれ位ですか?

福井約1万1千名で、実際に稼動しているのは約2千名/月です。今まで最大で約2万件/月、平均すると約5千~1万件/月の店舗のリサーチを行っています。

抜田システムは自社開発ですか?

福井今は自社で開発しています。

抜田現在の御社の課題は何だとお考えですか?

福井営業、認知度向上です。顧客基盤の拡大ですね。今回の博報堂DYさんとの提携もそういう視点で行っています。次に今以上の競争力をつけるために「教育力の向上」「業務効率の改善」が課題だと感じています。

抜田現在の新規のクライアント開発はどのような手法をとられているのですか?

福井大きく3つあります。一つはテレアポ等でのアウトバウンド営業、二つ目は株主様や金融機関様からのご紹介、三つ目に問い合わせなどのインバウンド対応です。一番成約率が高いのはインバウンドです。このインバウンドを増やすために、広報活動として、定期的にホームページをリニューアルしたり、業界誌に記事を書かせていただいたりしています。

抜田今後の事業イメージをお教えいただけますか?

福井今段階では「インフラを広げること」を徹底してやりたいと思います。とにかく使ってもらうようなインフラにならなければならない。そうすることによって事業効率も上がる。今の5千~1万店/月 稼動のインフラを約10倍の5万~10万店/月 稼動にしたいと思います。少なくても上場するまでは、インフラ拡大に注力する予定です。

その後、フィールドマーケティングの分野において圧倒的なインフラになったら、次のステップで流通・小売の現場のデータが集まっている会社ですのでそれを活かして、チェーン本部へのコンサルティングや事業再生、マーケティング領域に進出できたらと考えています。

抜田中途採用の求人サイトに掲載したところ、1回の掲載で300名を超える方の応募があったとお聞きしましたが、なぜ御社にそれだけ多くの方が興味をもっていただいたのだと思われますか?

福井二つ理由があると思います。一つはビジネスモデルが特殊で、流通・サービス業に特化したニッチなマーケティングサービスを行っていること。もう一つは、求める人物像に「私と経営方針や考え方を合わせられる人」をあげ、「自分の考え方が入っているので、私が毎日書いているブログを見てから応募して欲しい」とメッセージを発信し、自分を知ってもらったことだと思っています。毎日の積み重ねは大切で、今まで続けてきて良かったと思っています。

抜田福井社長が経営をされていく上で大事にしていることを教えていただけますか?

福井「社会性があること」「世の中に役に立つこと」を提供すること。そして、「一度信じたら、とことんあきらめずにやり抜くこと」です。そして、やり抜くときには、「信じて入社してくれた社員を思い、そして世の中を思う」その繰り返しで毎日取り組んでいます。

抜田社長の夢は何でしょうか?

福井なりたくてなった社長ですので、強烈なプレッシャーや大変なこともたくさんありますが、毎日とても楽しいです!だから、もっと立派な経営者になりたいと思っています。今以上に社会性を追及し、一緒に頑張ってくれている従業員を幸せにしたい。経営者は従業員を幸せにできることが大きな特権だと思いますので、それを実現したいと思っています。

抜田最後に、現在、転職をお考えの方へアドバイスをお願いします。

福井一つは、自分のビジョンを持つことが重要だと思います。5年・10年後に自分がどうありたいかというキャリアイメージを語れること。もう一つは、残念ながら多くはないと思いますが、社員を大切にしている会社を選んでいただきたいと思います。長い企業人キャリアにおいて、企業規模やブランドの有無ではなく、どの企業に在籍するかという会社の育ちはとても重要だと考えているからです。

抜田本日はありがとうございました。

福井社長はとても実直な方で、等身大でインタビューにご対応いただきました。今後、今以上にフィールドマーケティング業界におけるインフラ企業になり、流通・小売業の「縁の下の力持ち」として更なる飛躍を目指す同社のお力になれれば幸いです。

福井社長、この度はお忙しい中、お時間をいただき誠にありがとうございました。また近いうちにお話できることを楽しみにしております。