トップインタビュー
株式会社ぐるなび 代表取締役社長 久保 征一郎 氏
飲食店情報検索サイトでトップを走り続ける「ぐるなび」を運営している株式会社ぐるなびの久保征一郎社長にお話を伺いました。
詳細情報掲載店舗数6万3千店、月間アクセス数8億5千万ページビュー、ユニークユーザー数1800万人を誇る日本最大級の飲食店情報検索サイトとなった「ぐるなび」。
交通広告会社「NKB」の一事業として1996年に誕生した「ぐるなび」は、2000年には会社として独立し、今やグループ3社を含めた社員数は1400人を超えています。
旅行や、結婚、デリバリーなど食に関連した横展開のサービスラインナップも充実してきている同社の今と未来について、久保社長の想いをお聞きしました。
株式会社ぐるなび
代表取締役社長 久保 征一郎 氏
1977年 コンピュータ開発会社テックメイト設立
1984年 株式会社NKB
1996年 同社常務取締役「ぐるなび」をインターネット上に開設
2000年2月 株式会社ぐるなび 常務取締役
2001年6月 代表取締役社長
インターウォーズ株式会社
一人ひとりが人生のCEOとして生きる社会を実現する
人と企業のインキュベーター
インターウォーズ(以下、IW):昨今、一般ユーザーが飲食店を探す時はまず「ぐるなび」を使うのが当たり前という時代になったと思います。
久保 征一郎 氏(以下、久保):今もないわけではないですが、以前は飲食店を探す時は雑誌とチラシと口コミとがほとんどでした。今はインターネットで確認するというスタイルが、生活に溶け込みましたよね。
ネットというのは飲食店の情報を扱うのには非常に親和性が高く、他の媒体ではなかなか代わりえない性質のものです。それを組織的に展開する事業として取り組んだのは、我々は早かったですね。
IW:東証一部上場により、ますます知名度も上がっていますが、あえて今後の課題をあげるとするとどうでしょうか?
久保:加盟店の拡大に関しては、さらに数とエリアを増やしていくことがあげられます。
ぐるなびのサービスを使っている加盟店は約4万7千店ありますが、対象となる飲食店は全国で50万店くらいありますから、絶対数でいうと対象の約10%でしかありません。
ぐるなびとしては、10万店くらいのお店を掲載することが生活者に対しての最低限の義務だと思っていますので、ここに早く到達することと、あと、どうしてもまだ都心部が多くて、郊外、地方都市が少ないので地方も含めて全国網羅することだと思っています。
また、ぐるなびが目指しているのは「食」トータルサイトです。
飲食店検索といえば「ぐるなび」という面は浸透できてきていると思うのですが、それ以外の「食」という点に関しては、まだ発展途上ですので、このあたりを意識していきたいと思っています。
ぐるなびはレストランのサポーターという位置づけで仕事をしていますが、「加盟飲食店がどれだけ集客できるか」ということはすごく大きなポイントですよね。
こういった販促のサポートはかなりできていると思うのですが、これからは販促以外の「飲食店の経営」という大きな視点でサポートしていきたいと考えています。
飲食店には、人材の問題や仕入、内装など色々なテーマがあります。こういう領域でもトータルに飲食店をサポートしていこうというのがぐるなびの基本的な方針です。
この取り組みはまだ始まったばかりですので、これからの大きなテーマと言えるでしょう。
IW:今後のモバイルの活用に関してはどのようにお考えでしょうか。
久保:モバイルはぐるなびの中でもこの2年間の伸びが非常に著しく、おそらく数年でモバイルとパソコンの利用者の数は半々になるのではないでしょうか。
その流れに対応し、サービスの質を向上させるためにも、いま中身を色々と変えていこうとしているところです。
IW:久保社長が経営において大切にされている事は如何でしょうか。
久保:事業が始まったのは僕が50歳で、現在の役員は一緒に始めた当時の新卒だったりします。
若い人の斬新なアイデアがこれまで会社を支えてきたと言っても過言ではありませんので、その若い人のエネルギーを大切にしたいですね。そして、やる気のある社員が主体的に参加できる環境を作ることも大切なことだと思っています。
IW:社員に求める課題はなんでしょうか。
久保:すでにぐるなびも1996年のスタートから13年経っています。
この間にずっと創造し続けてきたものがぐるなびにとって資産でもあり、逆に破壊すべき対象にもなってきていると思っています。
以前からぐるなびにいる人には、今までのやり方を当たり前と思わず、あえて破壊してもらいたい。一番壊さないといけない事は、その人の中にあるのかなと。もちろん全部壊す必要はなくて、必要なものは当然残さないといけないのですが、急成長を遂げる中で古いものを壊し損ねてきている。
また、新しく参画してくれる人には、「何でこんなやり方でやっているの?」と、どんどん言ってもらいたい。創造しながら、壊していくというのがこれからのぐるなびには必要だと思っています。
IW:社長の会社に対しての夢は如何でしょうか。
久保:ぐるなびが「食」という領域の中で、非常に大きな影響力をもつ存在となり(別に農業会社や飲食店をやろうという意味ではなく)、生活者のみならず、企業や公的機関、生産者にも深く関わっていく会社となることでしょうか。
食という領域はとても広く、間違いなく、人類が存続する限り、切り離されることがありませんので、未来永劫変わることのないテーマだと思います。そういう意味では、たとえ私の代で叶えることができなくても、今の若いメンバーたちが私の夢を実現してくれるものと信じています。
IW:世界展開は如何でしょうか。
久保:「ぐるなび」のロゴマークが全世界共通の安心のマークになるようにしたいですね。ひらがなの「ぐるなび」は当然理解されませんが、このマークが世界のどこでも共通となるような世界を実現したいです。
フランスや、中国の人がぐるなびというサービスを使って、日本とは関係のないところでも情報交換をしているような姿にしたいですね。我々が海外に行く時も、海外から人が来た時にも、ぐるなびという存在により、安心して「食」を楽しめる環境を作っていきたいです。
IW:貴社の社員にはどういう人を求めたいでしょうか。
久保:ぐるなびで楽しくやっていける人は、指示待ちではなく、自ら動ける人だと思います。
やっていただきたいテーマはたくさんあるので、強い想いを持っていれば、いくらでも大きなこと、やりたいことができる環境にあると思います。
そういった人たちにはぜひ参画していただきたいですし、活躍できる場も多いかと思います。
IW:久保社長、どうもありがとうございました。
最後に貴社にご興味のある方へのメッセージをお願いします。
久保:「食」に興味がある人は多いのですが、ぐるなびに入ったら、「私はこれをやるんだぞ」という想いをぜひ、持ってほしいと思います。
新しい提案でも、今あるものの改良でも、「これをやりたい、やらせてほしい」と考えてくれると嬉しいなと思います。
IW:本日はありがとうございました。
「食」を切り口に、一般ユーザーと飲食店の相互の利益を考えると共に、ぐるなびを一つの安心ブランドとして世界へ情報発信したいという夢をお話し頂きました。分かりやすい言葉で、にこやかに、丁寧にお話をされる久保社長のお人柄からも、同社の「発信しやすい環境」が伺えました。深堀、横展開、そして世界への展開に向けて当社も今まで以上に応援させて頂きます。