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株式会社アルフレッドコア 代表取締役 上村 学 氏
インターネット界の「執事」を標榜し、高い技術力でWebとリアルを繋ぐ企業である、株式会社アルフレッドコアの上村 学社長にお話を伺いました。
クラウドやSaaS が大手に採用されていない2007 年6 月に設立して以降、常にお客様のコンフォートを意識し、大手ポータルサイトや数多くの有名なiPhone アプリなど話題のサービスを手掛け、著しい成長を続ける同社の創業者の上村学社長に、同社のこれまでの歩みと今後についてお聞きしました。
株式会社アルフレッドコア
代表取締役 上村 学 氏
2000年4月 米国の大学へ入学
2001年11月 学生ベンチャー個人事業主として活動
2001年12月 ベンチャー企業の設立に参画
2003年6月 大手映像配信サービス事業者へ参画
2007年6月 株式会社アルフレッドコア代表取締役として起業、現在に至る
インターウォーズ株式会社
一人ひとりが人生のCEOとして生きる社会を実現する
人と企業のインキュベーター
インターウォーズ(以下、IW):貴社をご存じない方に向けて、簡単に事業内容を教えて下さい。
上村 学 氏(以下、上村):企業様が実現されたい内容を実現する事。いわば夢を叶える事が我々のメインの業務になります。提案、企画、コンサル、デザイン、システム開発、運用保守、広報、などのどのパートからもお手伝いができます。例えば、企業様の組織体制に情報システム部がない場合は、我々がいわば「執事」になって情報システムに関する知識や方法を提供させて頂く形をとることもあります。
ごく簡単に説明しますと
「我々が全て面倒をみます」
「インターネットに関わるパートの面倒をみます」
というのを大前提にしています。
例えば、
「御社でデータセンターやサーバーなど機械を置く場所は準備しなくて大丈夫です」
「お正月やクリスマスにアクセス数が増える事などを気にしないで下さい」
「お客様がサーバやデータセンターを手配するなど煩わしいパートは我々にお任せ下さい」などです。
サーバーの台数やスペックの議論ではなく、例えば、「1 万人アクセスしたら××××円かかります」など、お客様が分かりやすい料金体系にして、「アクセスが増えたらどうする」「アクセスが減ったらどうしていく」というモデルを作っています。
ご購入単位ですと、EC システムや動画システム、SNS システム、アンケートシステムをサーバー丸ごと全て、企画提案、コンサルティング、デザイン、開発、運用保守、広告マーケティング、マルチメディアマーケティングなど、ワンストップで企業様が適時必要なサービスを展開する事業戦略にあわせて、システムをご提供していきます。
最終的にはインフラやプラットフォーム、ソフトウェアと呼ばれる所を意識させない形でご提供できる会社を目指しています。
例えばですが、お客様が「おまんじゅうを作ったけど、IT を使ってどう売るのかが分からない」という課題に対して、「これをどうぞ」と、すっと提案書や実現方法、またはアイテムをご提供できる。
弊社はそういう存在になりたいと思っています。
IW:会社の事業内容を詳しくお聞きする前に上村社長の今までの歴史、歩みを教えて頂けますでしょうか。
上村:まだ社会人経験10 年なので、語るほどの社会人経験はないのですが(笑
アメリカに留学していた時に、シリコンバレーで起業するところから社会人をスタートしました。Web開発、デザインを行う会社を友達と作り、当時はそれなりに上手く行っていて、私が営業を行いつつ、SE もやり、実はデザイナーもやっていました。最初の会社は自然消滅しましたが、その後で私が20歳の時に30歳の人と組んで、新たに会社を立ち上げました。そこが今の人生の起点となっています。
ビジネスが上手くいき始めた時に9.11 が起こり、日本に帰る事になりました。その後は翻訳、通訳やIT 関連の仕事を個人でしていましたが、過去に一緒に仕事をしていた人達が日本に帰ってきたので再度一緒にやる事にしました。その後に前職である大手映像配信サービス事業を行なっている会社に参画し、こちらでは大きなサービスを作って、チームを作って行くという仕事で色々勉強させて頂きました。お客様の事業を一緒に見ながらやっていくという事が、私の中で培われ、数億円単位、数十億円単位の案件を通してモノづくりの基本を勉強させて頂きました。
小さくものを作ると、できない所、見えない所、不便が沢山あり、どんなに開発力があっても、そこは埋められない。大きくしっかりしたものを作る素晴らしさを皆さんに味わって頂きたいと思っています。大規模なシステムと、小規模のシステムでは、提供される機能の想定範囲、たとえば、キャパシティ、拡張性、汎用性において大きく異なります。想定をどこまで明確にし、把握できるかが実力の差だと思います。
IW:その後、会社を設立された経緯、背景、会社の目指す所をお教え下さい。
上村:元々同じ会社にいたメンバーが幹部となり立上げています。当時はSaaS やASP が騒がれていない時代でしたが、これからのインターネットのあるべき姿をいち早くとらえ、SaaS というサービスに取組み、大きなプロダクトを作り、それを皆に時間貸しでご提供できるものを作れないか、と考えていました。
「なるべく大きなシステム(難しい技術が詰まったもの)を簡単に使って頂きたい!」「設備投資が必要なところをなるべく抑えた形で提供できる仕組みを準備したい!」そんな想いを秋庭(取締役)や宮崎(取締役)と社内で何度も夜な夜な議論していった所から、今に至っています。
当初は映像配信の案件が中心で、段々にWebのCMS案件だったり、EC案件だったり、その他色々な案件に派生していく中で、我々のプロダクトをどんどん強化していきました。仲の良いお客さんに一個ずつ発注を頂きながら成長することができました。最近は直接オーダーという事でご連絡を頂ける所まで認められました。
我々の企業のポリシーの部分でもあるのですが、技術を最新に磨いているからこそ、お客様が「何かやりたい」と言う時に「こういう技術がございます」と言えるのだと思っています。
弊社のロゴマークはインターネットの執事を意味します。
執事のように色々な知識を持ち「ベストなコンフォート」を提供できる人(会社)であり続ける。それを提供できるインフラとしてのプラットフォームプロダクトというのが会社の目指すところです。現在も某大手企業の、日本初、世界初のようなサービスの案件に参画させて頂くようなコンシェルジェ部隊、およびコンサル部隊に少しずつですが成長して参りました。
IW:御社の顧客ターゲットを教えて下さい。
上村:基本的にはどんな企業様へも弊社の価値をご提供させて頂きます。EC サイトで大規模な売上げを目指されているお客様や、他社との差別化を図りたいお客様が当社のメイン顧客になりまして、そこで初めてフルで様々な機能を活かしてお使い頂ける事になります。
また、一般的な相場感の30%オフから75%オフで提供させて頂いております。これは我々がプラットフォームを提供する事により実現しています。アプリケーションに関しても我々が一度作った部分をご提供いたします。
IW:そういったサービスを展開する中で、どのような課題を市場に感じられていますか?
上村:コストが高すぎますね。事業をするにはリスクがすごく高いです。
「リスクを事業者が持て」というのが当たり前なのは、私はおかしいと思っています。アクセス増を見越し、必要以上にシステムに投資する事、例えばサーバーを何台も買うという事や、都度新規アプリケーションを買う事もおかしいと思っています。無駄な労働サイクルがすごく生まれています。ここを削るのは世の中の流れだと思っています。
グーグルapps やニフティクラウドといった今の世の中の流れを活性化していく事によって、本来あるべき、サーバーはこちら、アプリケーションはこちらという形に完全に分離されていくと思います。
世の中の動きからも最近は「SaaS でお願いします」と大手10 社くらいから言われます。これが次の道への流れだと思っています。
我々はそこに向けて3 年間プロダクトを作ってきていますがメリットが出てきています。ある大きなポータルの後ろを我々が担当させて頂きましたが、1時間のPV が数千万PV を突破した時に我々の仮想化設備でサーバー設備を一気に増やしました。
今仮想化といっているのは、実際のサーバーではなくて、実際にあるように見せている事を言っています。通常は落ちたらサーバーを発注したり、空いているサーバーを貸りに走ったりします。時間のロスがそこに発生します。我々にお任せ頂けると、
X:「なんとかして下さい」
A:「ご決断頂けるようであれば、サーバーが増えます」「何千万というアクセス数も捌けます」
X:「やってください」
A:「了解いたしました」
というのが一時間以内に決まります。この運用コストで会社の半分以上が賄える状況までに成長してきています。今後ここは必ず需要として高まると考えております。その時に誰がこの市場をとるかというと、全部を提供できる会社が一番強いのではないかと私は思っていますし、(弊社のサービスは他社が)一朝一夕でできるシステムではないので、是非弊社を担いでほしいなと思っています。
IW:今まさに波に乗ってきていらっしゃいますね。今後の展望は如何でしょうか?
上村:「さらにお客様にシステムを意識させない事」ですね。
エンドユーザに意識させないための、最新テクノロジーを搭載する事。データセンター設備等は一個一個契約しているのですが、「どこに契約してもアルフレッドが入っていて、どこに置いても勝手にやってくれる」というようなロボット的な仕組みを今作っています。これは弊社のプロプライエティな技術です。
大規模サービスを提供している会社にしかできない事なのですが、弊社には「複数のデータセンターを1個に見せる技術」等の開発をしているスタッフがおりますので、更にここを強化するための技術力を磨き、これをお客様に「価格」という名のメリットとして返していきます。
IW:上村社長が経営において大切にしている事は如何でしょうか。
上村:過剰投資を避け、本物を提供する事ですね。
IW:外さない経営という事ですね。
上村:はい。「一つ一つのプロジェクトが予算内でできているのか」、とか「我々が作った枠の中でやれているのか」とか、かなり細かくやらせていくのが経営に対して大切にしている所です。
あとは「本物を提供する事」です。
どんな案件でも絶対手を抜けない事を社員全員に伝え、「必ず最大のソフトウェアを提供できること」「必ず最大限は提供できること」を相当意識しています。
社内的には「無駄な経費を使わない」「心に隙を生まないような状況を作ること」
お客様に対しては「最大限のメリットを提供し、ダメなものをつくらせない事」
例えば、昨年末にサービスインしたみーテレビ(meeTV)は、インターネットを通じて、自分のお気に入りのテレビ番組と出会う事ができます。好きなタレント、知りたいワード、気になるジャンル、オススメなどがすぐにみつかります。例えばチェックしたタレントに関係するアイテムもすぐに購入することができるテレビ番組とEC サイトの融合したサービスを立ち上げました。ユーザのライフスタイルに合わせたサービスを展開していきます。
IW:会社全体の雰囲気は如何でしょう。
上村:ボルケーノ(火山)みたいですね。
大手で活躍してきたメンバーが実力を出していい環境なんです。今まで隣の部署に頼んでいたようなものを「自分でやっていいよ」とした時に皆、縛られたものがなくなって全力が尽くせる。活き活きとできる。足かせが外れたような感じですね。
弊社は今年、前年比3 倍成長です。人出しとかモノ売りではないので、受託制作で3 倍成長は異常な事なんですよね。これがうちの今の原動力ですね。
IW:今後の成長展開に向けて、社員の拡充もお考えかと思いますが、どんな人に来てほしいですか?先程ボルケーノという言葉もありましたが、社員の人物像は如何でしょうか。
上村:そうですね。不満タラタラな方に来てほしいですね(笑
実力のある人の方が燻ぶっている事が多いですので、会社の制約があって色々出来ずに燻ぶっている人に是非集まってほしい。当社に来たら「やってみたら?」って言ってあげられます。後は「純粋な人」ですね。「純粋にやりたい、やってみたい、燃焼したい!」そういった人達は、弊社では物凄く活躍してますね。
IW:平均年齢、出身企業はどのようなところが多いのでしょうか?
上村:平均年齢はちょっと高くなってきていて、32、33 歳。20 代が少ないですね。出身企業はほとんどが上場企業が多いですね。
IW:人材計画は今後どうされていきたいですか?
上村:実は今、人を急募しています。
今当社にどんな方が働いているかというと、制作スタッフとしては「プログラマー、デザイナー、Webデザイナー」。進行管理としては「システムエンジニアとWebディレクター」がいます。この中で、常にデザイナー、開発者は募集しています。実務経験としては正直問わないです。
■プログラマー :開発を行う人間
■デザイナー :デザインを作る人間
■進行管理 :システムエンジニアとWebディレクター
開発者の方を今募集しています。
若い子から育てる枠が1 枠あるので、もしよければ、若い子1 人であれば、優先的にやる気だけで採用します。特に体育会系の方がいいですね。全般男女問わず、女性でも根性がある方であればいいです。特別採用枠で140km 以上でボールが投げられる方とか考えたいですね(笑
苦労して自分で成し遂げる事に快感を求められる人はいいですね。例えばスポーツをしている方や、何か賞を取った方達には、負けん気、マインドの強さを感じます。ベンチャーは心が折れる事があります。ですが、ひと山越えた時の快感がたまらない。お金もたぶんついてくるだろうし。仕事ができる方であれば、若くても信じられないような金額も払うケースが弊社はありますので。
または、ベテラン層で、この業界自信ありという人がいいです。実力を試して、有名になりたい、という人ですね。
進行管理はクライアントが大手の案件ばかりなので、SE としての実力が存分に発揮されます。その上のポジションとしては、本部長執行役員クラス、部長クラスが欲しいですね。マネジメントを大手でもベンチャーでもある程度経験されていて、再度ベンチャー畑でやりたい方とか。
「将来成功したい方」、「大手でやっていても不満が多い方」「俺も全力出せばホームランは打てないけど、エンタイトル2ベースは打てるという方」、「犠打とか受ける方」は良いですね。
どういう手法で採用するか分からないですが、役員クラスの人材、もしくはそのワンランク上を考えています。4月位に、弊社は来期の売上が40 億くらいを狙っていますが、それを成し遂げる上で私をサポートしてくれる人が1人欲しいです。マルチプレイヤーみたいな人というのが、私が今考えている人ですね。
IW:最後に、今後御社を目指す人にメッセージをお願いします。
上村:【夢をみて、それを実現しようと思った時に選んでもらって構わない会社】だと思います。
やるからには苦しさもありますが、成し遂げられる土俵がある会社、やろうと言って実現が出来る会社です。大がかりな案件によっては、よく権利調整とかありますが、弊社は王道でそれを超えていきます!半年がかりで胃を壊しながら提案していたりするので、かっこいい事言っちゃいましたが相当大変なんですけどね(笑
規模的にはベンチャーがやっているような案件じゃない大きなものもありますので、エンジニアでも、SE でもやりたいって思った時に実現できる場と、適職がうちの会社にはあります。iPhone アプリ開発をやりたい人であれば、iPhone アプリ開発をやればいいし、Web開発をやりたい方はWeb開発をやればいい。「やりたい事を選んでいいよ」という事を弊社の社員にはよく伝えています。
抽象的な言い方をすると「未来を一緒に作りたい」という方には合っている会社だと思います。今のご時世だからこそ攻められる会社っていうのは少ないと思いますので、是非参加して下さい。
IW:本日はお忙しい中、ありがとうございました。
洗練された技術を持ちながら、顧客からはそれを極力見せずに、裏方である「執事」に徹する事で、分かりやすく最大の効果を顧客に提供したいという上村社長の熱いメッセージをお話し頂きました。白を基調とする清潔感のあるオフィスでのインタビューでしたが、その横で打合せをする社員達の活気を感じました。社長は「帰る時はさくっと帰ります」とおっしゃられていましたが、30 本近いプロジェクトを並行で動かす上村社長の能力と、それを支える秋庭取締役と会社のシステムから、ベンチャーのタフさと大手企業で培われたノウハウを感じました。同社の今後の展開に向けて、当社も今まで以上に応援させて頂きます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。