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TOP ライブラリー クライアントインタビュー エグゼクティブインタビュー フリュー株式会社 取締役ソーシャルネットワーク事業部長 芝山 貴史 氏

エグゼクティブインタビュー

フリュー株式会社 取締役ソーシャルネットワーク事業部長 芝山 貴史 氏

「人々のこころを豊かで幸せにする良質なエンタテインメントを創出する!」という企業理念のもと、プリントシール機事業、デジタルコンテンツ事業、プライズ事業、ゲーム事業を中心にサービスを展開しているフリュー株式会社(https://www.furyu.jp/)。
同社で取締役ソーシャルネットワーク事業部長を務める芝山貴史氏にお話をお伺いしました。

株式会社Mutations Studio 取締役 芝山 貴史 氏

フリュー株式会社 取締役 ソーシャルネットワーク事業部長

株式会社Mutations Studio 取締役 芝山 貴史 氏

1994年6月 ニューヨーク大学 心理学部卒業
1996年6月 株式会社シーアンドイー(現株式会社エキスプレス)入社
2001年7月 株式会社レッズ入社(現株式会社エキスプレス)取締役
2004年2月 オムロンエンタテインメント株式会社入社
2007年4月 フリュー株式会社 モバイル事業部 事業部長
2009年6月 同社 取締役(現任)
2012年1月 同社 ソーシャルネットワーク事業部 事業部長(現任)
2014年3月 株式会社Mutations Studio 社外取締役(現任)

小黒 力也

インターウォーズ株式会社

インタビュアー 小黒 力也

理系大学院修了後、国内系シンクタンクに入社し、金融機関向けのシステム開発に従事。ヘッドハンティング業界に転じ、IT部門のマネージャを経て、現職。

小黒 力也(以下、小黒フリューさんといえば、プリントシール機を思い浮かべる方が多いと思うのですが、現在の事業構成を教えて頂けますか?

芝山 貴史 氏(以下、芝山):大きく分けて4つの事業があります。
1つめはプリントシール機事業です。「キレイに写る感動をみんなに伝える」を合言葉に、お客様が求める写りの仕上がりを提供し続け、市場シェア1位を維持しています。
2つめは、プライズ事業。キャラクターのぬいぐるみをメインに、雑貨・フィギュアなど、年間600種以上のアミューズメント施設用景品を企画・開発・販売しています。現在は主にコンビニエンスストアにて展開しているくじの事業にも参入しています。
3つめは、デジタルコンテンツ事業。プリントシール機で撮影した画像をスマートフォン・フューチャーフォン向けに提供するサービス「ピクトリンク」を中心に、女性向けのモバイルコンテンツを数百万のお客様にご利用いただいています。その他にも、時代のニーズに合わせた様々なモバイルサービス、アプリを提供しています。
そして4つめが、ゲーム事業です。家庭用ゲーム機向けのゲームソフトと、スマートフォン向けのゲームアプリの2軸で展開しています。家庭用ゲームソフトについては、版権をお借りする作品と、完全オリジナル作品とのバランスよく開発しており、また、ゲームアプリも大人の女性向けの恋愛ゲームを中心に人気を獲得し始めています。徐々にヒットタイトルを生み出せる体制になってきています。

芝山 貴史 氏

小黒:ホームページ上の経営数字を拝見すると、かなり健全な経営体制だとお見受けします。御社の事業展開の戦略やポリシーを伺えますか?

芝山プリントシール機事業は創業事業でして、現在も弊社を支える大きな柱となっています。しかしそれだけでは、市場の動きに会社全体が左右されやすくなります。そこで弊社は、既存事業の業績継続・改善施策と共に、新しい事業を積み上げて会社の成長につなげる、総合成長戦略のもと、着実に成長して参りました。
現在は、事業を「ガールズトレンド事業」と「世界観事業」という2つのグループに分け、属する各事業が相乗効果を生み、強みを強化しながら発揮できる仕組みを構築しています。

小黒:2つの事業グループはそれぞれどのような強みを持っているのでしょうか?

芝山「ガールズトレンド事業」の主なターゲット層は、プリントシール機をご利用いただいている女子高生を中心とした若年女性です。流行を捉えるマーケティング力、企画力を強みとしています。
「世界観事業」は各キャラクター、作品が持つ世界観を大切にしている事業群です。プライズのように版権をお借りして商品を作る事業が多いため、有利に版権取得をすべく、事業グループ内で連携して動いています。取得した版権をプライズやゲームなど様々な形で商品化できるのは強みですね。

小黒:新しい事業を会社の成長に確実につなげていくのは難しいのではないですか?

芝山新規事業については、一般的には千三つ(せんみっつ)と言われるほど成功確率が低いのですが、弊社は創業当初より、プリントシール機事業、モバイルコンテンツ事業、家庭用ゲームソフト事業と事業を積み上げる過程で、いずれも黒字化を達成しています。
ただやみくもに着手するのではなく、自社の強みが活かせて、且つ勝てる見込みのある市場を見極めた上で参入する。そして参入後は仮説・検証をしっかりと繰り返しながら強みを見出していく、そういった論理的な積み上げを丁寧に行っているんです。

芝山 貴史 氏

小黒:アニメ制作やくじ事業のリリースなども拝見しましたが、社内で新しい事業に取り組まれる時はどう動かれるのですか?

芝山まずは社内で「やりたい!」という人がいるかどうかですね。新規事業で会社全体を成長させていくということは全社的に浸透しているので、手を上げた人が中心となりプロジェクトを立ち上げて進めていきます。そして、参入を検討している市場が本当に勝てる市場かどうかなど、しっかりと見極めを行います。
弊社の新規事業は2つの種類があります。1つは、全社の成長を支える新たな柱となり得る新規事業、もう1つは、既存の主力事業の成長を支える新規事業です。前者の実績として「アニメ事業」、後者の実績として「くじ事業」が挙げられます。

小黒:今後の展開として、IPOや海外事業展開についてはいかがですか?

芝山会社としては独立当初からIPOも視野に入れていますので、必要性があれば適切なタイミングで適切な市場を目指すと思います。海外展開についても、国内シェア1位のプリントシール機をどのように海外で展開していけばよいのかを慎重に検討していきたいと思っています。

小黒:芝山さんご本人についても簡単に経歴を教えていただけますでしょうか?

芝山94年6月にアメリカ・ニューヨーク大学の心理学部を卒業後、96年の6月に株式会社シーアンドイー(現株式会社エキスプレス)に入社、大手衛星放送の放送委託事業の立ち上げに参加して、番組制作いわゆるテレビディレクター、プロデューサーとして勤務しました。その会社もIPOを目指していたので、私が副社長と一緒にベンチャーキャピタルを回ったり、資金を集めるための事業計画書を作成したりもしていました。そういった経験が評価され、携帯向けコンテンツ事業を担当することになり、インターネットサービスの立ち上げや動画配信などを行いました。
その後、2001年より関西にある関連子会社のレッズ(現株式会社エキスプレス)に移り、役員に就任しました。しかし、会社の拠点を東京に移すことが決まりまして、関西で仕事ができないかと模索した結果、京都でモバイル系の仕事をやっていた、当時のオムロンエンタテインメントに2002年2月に入社したわけです。入社後は、モバイルサービスのディレクターからはじめ、企画部門のリーダー、そして2007年4月に会社がオムロンから独立し、社名をフリューとしてからはモバイル事業部の事業部長を任されました。2010年6月には取締役に就任し、2012年1月から現在の役職であるソーシャルネットワーク事業部の事業部長を、そして2014年3月からは、フリューが出資しているゲーム開発会社「Mutations Studio(ミューテーションスタジオ)」の社外取締役を兼務しています。

芝山 貴史 氏

小黒:直近のお役回りというのは、主に何が中心になるのでしょうか?

芝山プリントシール機ビジネスの中の1つである「インターネット事業」です。弊社の収益の多くをプリントシール機ビジネスが占めているのですが、そのビジネスの中でも特に収益性が高い領域になります。この事業を拡大すると共に、インターネットを使ってプリントシール機全体のお客様の満足度を高めていくことに従事しています。

小黒:芝山さんがフリューさんで成功された理由と、苦労された経験を教えていただけますか?

芝山成功の要因を一言でいうと、「異なる文化においての職務経験を活かし、その観点で提言をし続けた」ということになります。入社当時、役員/管理職の多くがオムロン出身者で大企業かつメーカー的な「堅い」文化があったのですが、様々な業界を経験した者として、もっと会社に「エンタテインメント」要素を取り入れようと働きかけました。
また、「主流の考え方=メーカー的考え方」ということに対して、マスコミ/WEB業界の経験を活かした異なる考え方を提示し続けると共に、異なる考え方を受け入れられる土壌を作りました。その土壌が多様な人材の受け入れを可能にしたことで、事業を成功させることができたと思います。最も苦労したのは、制度の改善を提案したときです。考え抜かれた大企業の制度は一部を簡単に変えることができず、すべてを抜本的に変える必要があります。検討の結果、変えるところは抜本的に変える、変えないものは本来の主旨に立ち返り、それを生かす制度の運用を行う、といった方策をとるようになりました。

小黒:ちなみに10年前に芝山さんが参画されたときに比べて、今はどれくらいの規模になっているのでしょうか?

芝山10年前は全社で派遣社員も含めて約150名の規模でした。今は合計で約450名ですので、3倍くらいになったイメージです。新卒採用者も今では60名近くいます。

小黒:芝山さん個人としての夢を教えていただけますか?

芝山社長の田坂が今の企業理念を作る過程でこういうことを言いました。「仕事をしていれば、また生きていれば、いい時も悪い時もある。例えそれが悪い時であっても、その状況を楽しめるような姿勢で物事に取り組みたい。つまり、いい時も悪い時もある人生そのものを、エンタテインメントとして楽しみたい。”人生こそが最高のエンタテインメントだ!”フリューがそのような会社であればいいな」と。この言葉に対して非常に共感しました。僕自身もそう思っていますし、そう思える人が一人でも増えるといいなぁ、というのが私の夢です。

芝山 貴史 氏

小黒:田坂社長に対しては、経営者としてどのような印象をお持ちなのでしょうか?

芝山部下の意見を広く取り入れてくれる経営者だと思っています。会社を安定的に成長させてきた経営者ですし、自身の勘も信じている方なので、私たちの意見とその勘が合うかどうかといった観点で物事を判断する場面もあります。どのような場合でも、熱意のある意見はきちんと聴くという印象がありますね。

小黒:話を聞いてくれるTOPなのですね。御社の社風について教えていただけますか?

芝山企業理念が浸透している会社です。「人々のこころを豊かで幸せにする良質なエンタテインメントを創出する」この企業理念のもとに、社員一人一人が自分たちの夢の実現に向けて進んでいます。
企業ですので、当然売り上げや利益の追求は必要です。ただ、あくまでも「良質なエンタテインメント」をお客様に提供することで得られるものに限っています。そして「良質なエンタテインメント」によってお客様の心を豊かにするためには、それを提供する側の心が豊かで幸せである必要があります。
フリューで働く全員が、「関係する人々に喜んでいただいた」という充実感を得ることで、仕事を通じた「こころの幸せ」は得られると考えます。会社としては、こういった理念を大切にする社風を保つため、フリューの未来について語り合う「全社合宿」や部門の垣根を越えて理解を深めるための社員交流など数多くの取り組みを実施しています。

芝山 貴史 氏

小黒:インターネット系の事業を扱っている会社ではなかなかないですね、素晴らしいと思います。

芝山ありがとうございます。ただし、効率や成果の追求ももちろん必要だと考えています。ですので、企業理念を実現しながら利益の追求を行うこと、いわゆる「ロマンとそろばん」のバランスをとるのは非常に難しいです。
理念と利益を両立させつつ成長したいというのも社風かもしれないですね。「急成長はいらない。そのかわり、成長し続ける会社でありたい。」という社長の言葉にもそれが表れているのではないでしょうか。

小黒:今後御社に参画してほしい人物像はありますか?

芝山私自身が転職者ですので感じるところを申し上げますと、企業体質に合うかどうかを見ていただければと思います。弊社はスタートアップベンチャーでも、大企業でもありません。両方の要素を兼ね備えた「大企業発ベンチャー」です。ゆえに、短期的で極端な成果よりも、長期的で安定した成果を目指したい方と相性が良いと思います。つまり先述のとおり、継続的に成長し続けられるタイプが望ましいですね。
また、企業理念に共感していただけるかどうかも重要です。収益なのか理念なのかに立ち戻る瞬間が多々あるところで、「良質なエンタテインメント」としては、どこまでがOKでどこまでNGか、市場の状況を見ながら自分で咀嚼して進めることができるという要素も必要かと思います。

小黒:最後に、今後御社に参画される方々にメッセージをいただけますか?

芝山フリューでは「やりたいことをやろう」という社長メッセージのもと、「動的ビジョン」経営を実施しています。以前「フリューのビジョンとは何か」、ということを社員や役員を中心に議論していた時に、「経営数値といった固定的で企業目線のゴールをビジョンとするのはフリューらしくない」という結論に至りました。「社員の幸せとこころの豊かさの創出」を”土台”にしている企業なら、そのビジョン=未来像も、社員一人ひとりのビジョン=未来像=夢と重なり合うものでありたい。企業理念という共通の土台をもつ「場」と、そこで過ごす「時間」を共有することで、社員の夢と夢がシンクロして有機的に重なり、それぞれの夢が「フリューという企業の夢」に繋がると考えたのです。
フリューの土台の上で、自分の夢を実現したいという方、是非いらして下さい。

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小黒:本日はお忙しい中、ありがとうございました。