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エグゼクティブインタビュー

株式会社ソミックマネージメントホールディングス グローバル人事担当役員CHRO 船見 晋一 氏

株式会社ソミックマネージメントホールディングス 船見様

ソミック石川のボールジョイント、ソミックアドバンスのロータリーダンパーなど、世界トップクラスの技術を持つソミックグループ全体の事業統括を行う「ソミックマネージメントホールディングス」。同社CHROの船見氏にインタビューし、ご自身のご経歴と、同社のこれまでの歩みと、未来の仲間に向けたメッセージを語っていただきました。

株式会社ソミックマネージメントホールディングス

グローバル人事担当役員CHRO 船見 晋一 氏

慶應義塾大学大学院経営学修士。大手自動車部品メーカー、製薬メーカーを経て、人的資源管理・新会社設立・グローバル人事・海外赴任など国内外で幅広く経験。MBA修了後、2011年に大手インターネット企業へ入社。複数の事業において経営管理の立場から事業の立ち上げや再生に携わる。経営戦略と連動した組織・人事戦略で、経営変革・事業成長に貢献したいと考え、2023年より現職。

インターウォーズ株式会社 インタビュアー 小黒 力也

インターウォーズ株式会社

インタビュアー 小黒 力也

理系大学院修了後、国内系シンクタンクに入社し、金融機関向けのシステム開発に従事。ヘッドハンティング業界に転じ、IT部門のマネージャを経て、現職。

浜松の100年企業、ソミックグループとは

小黒 力也(以下、小黒ソミック石川といえば浜松や自動車業界ではとても有名な企業ですが、業界外の方々に向けてどんな会社なのかを教えていただけますか?

船見 晋一 氏(以下、船見):ソミックグループの中核技企業であるソミック石川は、車の部品メーカーです。ガソリン車でもEV車でも必要となる部品を作っていて、グループでは国内で約2000名、グローバルで約8000名の社員がいます。創業は1916年で、織機に関する部品の製造からスタートしました。その後、トヨタ様が自動車製造にシフトしていく中で我々もお声がけ頂き、ポールジョイントという足回りの重要保安部品の製造を主力製品としています。国内シェアは65%、トヨタ様やスズキ様、他の完成車メーカー様と取引しています。 今後のビジネス展開では既存事業の変革と新規事業の創出は大きなテーマです。既存事業は引き続きグローバルに成長機会を模索し、これまで培ってきた技能・技術と、地域との信頼関係で目指してきたもの、一人一人が考えてきたプロセスなどを資源資産として活用し、新規事業もどんどん生み出していこうと考えています。

小黒:2019年の経営刷新について教えてください。

船見2018年にソミックマネージメントホールディングスを設立し、グループ全体を横串で見て、しっかりと考えて物事を進める体制にしました。事業会社はある意味専門特化し、経営のスピードと意思決定のスムーズさを追求しています。

小黒:ソミックマネージメントホールディングスの下には、何社ぐらいありますか?

船見ソミック石川、ソミックアドバンス、アスキー、ソミックエンジニアリング、ソミックトランスフォーメーションの5社があります。ソミック石川の下には特例子会社のソミックワンや、海外拠点が複数あります。

小黒:2030年に向けて売上3000億を目指されるそうですが、今後会社がどんどん増えていきそうですね。

船見そうですね。新規事業の成長に伴い、増えていくかもしれませんね。次世代リーダーの育成は大きなテーマになっています。今、外部環境は大きく変化しています。日本国内にフォーカスして右肩上がりを想定するのは当然難しい。環境変化が起こっている時だからこそ、自分たちが変わっていく大きなチャンスだと受け止めようと経営層を中心にメッセージを発信し続けています。健全な危機意識を持ち、その上でそれをビジネス機会に変えていこうと。

新規事業のテーマは「社会課題を解決すること」

小黒:海外展開について教えてください。

船見ソミック石川はこれまでトヨタ自動車様の海外進出に伴い、海外展開を進めてきました。アメリカ、インド、中国など世界6ヵ国に工場を持ち、ボールジョイント事業だと世界シェア2割程となっています。

小黒:最近では、シリコンバレーのスタートアップに追加投資もされましたね。

船見ソミックトランスフォーメーションが投資したDevices-Unlimited Corp.社ですね。新規ビジネスを考えた際にはパートナー企業を日本の企業だけに絞らず、日本と海外という概念ではなく、先端的・先進的な取り組みをされている企業様を幅広くサーチしています。やりたい事に対して技術シナジーが見込める企業に出資し、新しいビジネスを創出しています。

小黒:新規事業について伺いたいのですが、「社会課題を解決すること」をコンセプトに取り組まれているようですね。具体的にはどんなことをされていますか?

船見例えばですが「SUPPOT」という作業支援ロボットを開発しました。建設現場や土木工事現場、工場物流などで利用されています。これまで人が重労働をしていた作業をロボットが代行し、作業の負担を軽減しています。もう一つの大きなテーマはカーボンニュートラルです。工場の電力量を計測して削減するなど、環境に配慮した工場運営を見直しています。Devices-Unlimited Corp.社との連携では、カーボンニュートラルに向けた社会課題の解決に取り組んでいます。世の中の困りごとだったり、皆がこうなったらいいなと思ったりするものを、これから一つひとつ作っていきたいと思っています。

小黒:新規事業はタスクフォース的なプロジェクトで動くのか、新規事業開発室などを作ってなのか、ソミックトランスフォーメーションとして新規事業を手掛け、そこに所属する人が担当するのか、いかがでしょうか。

船見今はホールディングスの中で、単に探索したり、自分たちで考えているところもありますし、そこから少しゼロイチを作り出そうというところと、ある程度事業化が見えてきたものをソミックトランスフォーメーションでやったりという形なので、特定の一部門というよりは、少し役割を変えてグループ的にやっています。

知られざる創業オーナー、一族の実態は

小黒:いわゆるオーナー系の会社で、ソミックマネージメントホールディングス社長の石川雅洋さん、副社長の石川彰吾さんは創業家のご出身です。一般的には風通しや動きの柔軟さに問題があるのではと思われがちですが、現在の経営の舵取りはどのように行われていますか?

船見雅洋社長は中核会社であるソミック石川の6代目社長(現会長)であり、グループ全体の中心的存在です。発言への共感性も高く、同じ方向に一緒に向かおうと、社員のよりどころとなっていますね。同社 彰吾副社長は既存事業の変革と新規事業をリードし、兼務でソミックトランスフォーメーションの代表取締役も務めています。彼は海外の高校・大学出身で語学が堪能であり、海外の拠点にもすごく入り込み、最前線で我々のビジネスのグローバル化を牽引しています。こんな役割分担で、それぞれのお立場から事業をリードされています。

小黒:雅洋社長が60代、彰吾副社長が40代ですが、新しいことを進める彰吾さんの動きを、雅洋さんやお歴々の幹部陣はどのように受け止めていますか?

船見今のご質問で「一般的には対立があると思われるのだな」と実は驚いたのですが、雅洋社長は「変革」を応援しています。ご自身でも業界の変化を肌で感じられているのだと思いますが、年度始めの挨拶でも変化に対するメッセージを発信しています。ベテランの幹部の中には一部変化に戸惑っている人もいるかもしれませんが、抵抗勢力になることはなく、皆が前向きに協力して変革を進めています。そういう空気や風土はこの会社の中で醸成されていると思います。

小黒:船見さんがCHROとして密接に意思疎通されているのは、社長の雅洋さん、副社長の彰吾さん、ソミック石川社長の斉藤さんでしょうか。

船見はい。グループの中心的事業会社であるソミック石川は、従業員数も多く、人事という大きな枠組みで取り組んでいく中では、斉藤社長と一緒に人事の施策をしていく必要があるので、コミュニケーションは密に取っています。本当にうちの経営陣は非常にオープンかつ、ある意味フラットに接してくださるので、そういう意味では 非常に近い距離感の中で、頻繁にコミュニケーションも取っています。

小黒:「既得権を持っている方が、それを守りたくて対立が生まれる」という事がなく、とても健全な経営チームになられているわけですね。

船見本当にそうですね。世の中的には、「オーナーが独善的になってトップダウンで、周りはイエスマンで固められる」ということも往々にしてあるかと思うのですが、お二方とも、(繰り返しになるのですが)非常にオープンに接して、オープンに人の話に耳を傾けられるので、一方的に上からとか、オーナーの存在が変革の足かせになるといったことはないと感じています。

製造業、ネット業界、再び製造業のCHROに

小黒:船見さんの経歴について教えてください。

船見:私は昨年10月にソミックに入社し、ちょうど半年が経ちました。大学卒業後、最初に入社したのはトヨタ系の自動車部品メーカーです。自動車部品の会社でしたが、最初の配属は人事で、人事異動や全社の要員計画などを策定する業務からスタートしました。途中、海外の小さな拠点でマネジメントも経験し、徐々にグローバル人事を中心に業務を行うようになりました。同社は当時従業員が約1万2000人、人事部だけでも100人以上いるような大きな組織で、業務が比較的狭く深く細分化されていました。より幅広い経験を積みたいと思い、大手製薬会社に転職しました。製薬会社では、従業員約2000名、人事部は20人ほどとコンパクトな規模で、前職での経験を活かしながら、幅広い業務を担当しました。ここでは、経営に近い立場で仕事をする中で、人事を経営戦略としっかり結びつける必要性を実感しました。 その後、経営や経営戦略を深く理解するために慶応大学の大学院に進学し、2年間マネジメントを学びました。2009年には大手インターネット企業に入社し、最初は人事部門でしたが、4年後には事業サイドでコーポレート部門や事業の責任者も務めました。こちらでの経験を通じて、ビジネスと人事を結びつけるスキルを身につけました。

小黒:船見さんがCHROを目指すきっかけになったのはどのような事ですか?

船見:インターネット企業での経験を通じて、ビジネスをゼロから大きく作り上げる中で、自分が企業の成長に貢献できる領域は人事だと確信しました。「企業は人なり」という言葉がありますが、人事の領域で貢献したいと思ったことがCHROを志すきっかけとなりました。

小黒:再び製造業に戻る決断をされた際、どのような点が魅力的でしたか?

船見:自動車業界には系列の概念がある程度残っており、自由度が低いと感じていました。しかし、ソミックの経営陣と話す中で、お客様との関係性を大切にしつつも、自分たちでいろいろと考えて進められる裁量を持ちながらビジネスを展開していることが分かりました。ソミックが製造業の枠組みにとらわれず、新しいモノづくりからコトづくりへと変革を目指している姿勢に共感し、自分の経験を活かして貢献できると感じました。

小黒:現在の役割について教えてください。

船見:現在はCHROとして、会社の未来を人事の文脈で捉え、戦略を構想し実行する役割を担っています。私の下にはグループ人事部と海外人事部があり、基本的なオペレーションはそれぞれの部長がしっかりと担当してくれています。私はより経営に近いところの目線で、2030年、35年を見据えて、ソミックグループの成長を実現するために、人事として何が必要かに集中しています。

小黒:入社して半年が経ちますが、会社としての課題をどう感じていますか?

船見:ソミックはこれまで、お客様の要求に対してかなり高品質で応える強みを持っています。一方で変革に向けて環境変化を捉え、未来を予見して活動する部分は適応しきれていない部分もあると感じます。この点は成長の余地があると思っています。

小黒:社内での変革について、どのように取り組んでいますか?

船見:外部からのノウハウを取り入れる選択肢と、既存社員の成長を促進する施策を両立させています。特にソミックマネージメントホールディングスでは、経営や財務経理、人事など、専門性が求められる領域で、経験を積んだ方に積極的にジョインしていただいています。

小黒:仕事上でパフォーマンスを維持するためにどのような事を意識していますか?

船見:基本的に事実は何か、ファクトベースで状況を把握し、課題の本質を考えるように心掛けています。また、間接部門の仕事は必ずしも100点満点でなくてもよいという考え方をネット企業では学びました。70点でも早くリリースし、改善を繰り返すことで、より良いものを作り上げるアプローチを取り入れています。

小黒:その考え方は、今後のマネジメントスタイルにも影響しそうですね。

船見:そうですね。失敗やチャレンジを恐れずに取り組む環境を整え、成功体験を積むことで、仕事の進め方やスピード感が変わることに繋げていければと思っています!

未来の仲間に向けてのメッセージ

小黒:選択的週休3日制、兼業OK、副業OK、柔軟な働き方を取り入れていますね。

船見:必要な方が上手く活用しており、社員のライフスタイルに合わせた多様な働き方が進んでいます。必要な時に出社し、リモートでの働き方も可能ですので、東京や大阪、海外からでも働ける環境を整えています。私自身も住まいは東京です。東京をベースに、新幹線で必要な時に必要な形でこちらに来て仕事をしています。出張含めて、今週は軽井沢にいたり、東京の自宅で仕事をしたりしています。

小黒:今後、どんな人に仲間に入っていただきたいですか?

船見:ソミックは真面目に愚直に取り組む社員が揃った会社です。今後はスピード感を持ち、柔軟に変化に対応できる人材を求めています。オーナー会社でありながらも、オープンかつフラットな環境でチャレンジを奨励しています。日本の製造業の良さを活かしつつ、新しい視点で変革を進めたい方にぜひ入っていただきたいです。

小黒:御社を受けようとしている候補者の方に、船見さんが面接でこういうことを聞くから考えておいて欲しいということがあれば伺いたいのですが。

船見:ありきたりですが、やはり「この会社で何をやりたいのか」ということは、必ず聞かせていただいています。それを起点に対話をすることを面接で重視しています。紋切り型に質問を投げかけて回答して、それを評価するのではなく、同じ船に一緒に乗ってチャレンジを共にする仲間を探す活動なので、質問した上で、そこから対話させていただく。弊社を受けていただく方にとっても、この人たちと一緒に同じ船で航海したいか、というのを考え、感じる時間になればということを、面接時に意識しています!

小黒:本日は色々なお話し、ありがとうございました!